楽器隊なのに声優やるの？

Act.21 ページ23

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「さーて、今日は誰を上げようかなー？」


julioという曲はサビにラップを入れているOLDCODEXの一曲なのだが、そのラップの部分をステージにオーディエンスを上げて歌ってもらうというパフォーマンスをしている。
今はそのオーディエンスを探している途中。もちろんあたしは本日も上がるつもりもなく、見つかるつもりもなく真ん中の柵に居座っているつもりだったのだが、珍しくテンションの上がった天に前に連れて行かれなぜか今は目の前に達央がいる始末。一番前の柵の二番目にいる。

いつもは流されてもすぐ逃げるのだが、天が楽しそうだしなんかいいかなって思っていたのだが。




は め ら れ た 。




「実は今日さー、上げるやつ決めてるんだよ。そいつ呼んでいーい？」

『いいよー！！！』

「え、呼ぶって何、まって、まさか！」

「ごめんて(笑)」



「あーきらちゃん♡逃さねえよ？」



ステージの上から悪魔の声が聞こえた。



「は！？まって！？は！？達央テメー覚えてろよ！！？」

「ガチギレこえーわ！w」


ガチギレしてると上から達央が手を伸ばしてた。周りからは黄色いキャー！！という声が遠くに聞こえる気がする。
上でニヤニヤ笑いながら手を伸ばす達央の手を取りステージに引き上げてもらう時に勢いが良すぎたのか、達央に倒れ込んでしまった。


「うっおっと、」

「っ、とごめん、」

「いや、…大丈夫、です。」

「…なんで敬語や。」


思ったよりも近い顔の位置に思わずすぐに目を逸らしたら、相手は敬語であたしから離れた。
すぐ横ではよーくに引っ張られてステージに上がっている天とよーくが、ニヤニヤ笑いながらこっちを見ていたのでイラついて思わず達央の肩を殴ったのは仕方ない。


「NO NAMEの二人に今日は歌ってもらおうと思います！！」

『イェーイ！！』

『Akiraちゃん頑張ってー！！』

『Tenー！！』


ああ、もう、この景色見ちゃったらやるしかないでしょ。


こみ上げてきた笑いと諦めで思わず下を向いてしまった。もう一度顔を上げてオーディエンスを見る。


「……いい景色じゃん。」

「A、ん。」


達央が渡してきたマイクを受け取る。そろそろ間奏が終わるだろう。


「えー、紹介に預かりました、NO NAMEのAkiraです。本当に知らなかったです、ごめんなさい！ちょっとだけお邪魔します！」

「NO NAMEのTenです！すみません、お邪魔します！」




There we go, Alright, “What are you wearing black shirts？




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