０番目の奇蹟、２ (ページ14)

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第１２Ｑ-３ページ14

火神の姿が見当たらないと声をかける小金井に、言い辛そうに指を指し教える伊月。指の先にはロッカーに寄りかかり腕を組んで寝ている火神の姿があった。

「ちょっコラ火神！！寝たら体固まっちゃうでしょーが！」

「まあ…ほっとけよ。」

起こそうとするカントクにそのまま寝かせようと言う日向。寝ているのは次の試合に備えて最後の一滴まで力を溜めてるようにも見えるからだ

「すいません、ちょっとトイレに行ってきます。」

「あ、オレも行っとこ。」

「行ってらっしゃーい。」

入り口付近にいたオレは二人を手を振って見送った。そろそろ自分もバッシュを脱いで待っていようと思ったら、座っている自分に影が出来、何かと顔を上げるとニッコリと笑顔の日向がいたのだ。

「……キャプテン？どうしたんデスカ？いい笑顔で……」

「どうしたもこうしたもねえだろだアホ！！」

「！！」

上から怒鳴った日向にビクリと体を震わせ、何の事を示しているのか本気で分からず不安げに日向を見上げた。
なんなのだ、本当に分からない。

「はぁ…。さっきのアレなんだよ。津川がお前の行方分からなくなってたぞ。」

「さっきの……？ああ、試合の？」

「確かに。津川がいきなりどこ行ったのか分かんないような顔してたな。A、何したの？」

伊月から周りがどう見えていたかを聞き、そんな事かと語り始める。

「ああ、アレは津川の瞬きの瞬間に視界から消えたように見せただけですよ？」

「……瞬きの、瞬間に……？」

「？はい。」

みんなが信じられないというようにこちらを見るので、こっちも何なのかと見つめてしまった。すると目の前の日向がため息を吐いて目の前に座るといきなり頭を鷲掴みにしたのだ。

「何だそれは。さも当たり前のように言ってるがそれをするための反射神経と瞬発力がねえと出来ねえだろ舐めてんのか、ん？？？」

クラッチタイムが入ったようで周りでは呆れたような、当然だと言わんような目を向けられ、鷲掴みの頭はギリギリと力を入れられていた。

「ちょ、え？キャプテン、イタ、痛いんですけど痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い！！！いや、出来ちゃったんですモン！！！」

「そんな簡単に出来るかだアホ！！普通は出来ねえから！！」

「マジすか！！」

嘘、テツ見てて色々試行錯誤してたらできちゃったよ！！オレ天才！？

「あークソ腹立つなー今年の一年はー。さすがキセキの０番目だなー？んー？」