本当の彼を知るのは(2)

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久しぶりに抱き合って、それはそれはご機嫌の翔平。肌を合わせるだけでこんなにも喜んでくれるなんて、愛されてるなー、なんて。

お互い慣れない育児で精一杯になっていたけど、もう少し肩の力を抜いて2人の時間も大切にしよう。



真宙ももうすぐ3ヶ月。今日は真宙を連れて初めての試合観戦。私が観戦する日には絶対にベンチの後ろのチケットを用意する翔平。目立つから嫌だと言っているけど、顔が見えるとパワーが貰えるからって譲る気はないみたい。近頃はもう諦めている。

指定された席に座り、翔平のチームメイト達に挨拶をする。以前騒ぎになった事もあり、私の姿は球場カメラでは拾わないよう手回しされている。


真宙の紹介も終えて、席に着くと
「久しぶり、Aだよね？」後ろから声を掛けられた。

振り向くとそこには懐かしい顔。元彼の幸次が居た。
「幸次？！何でこんなところに居るの？！」
幸次「何でって、俺カメラマンだし。笑」
「え、そうだけど、人は撮って無かったでしょ？」
幸次「Aと居た頃はそうだったね。別れてから色々あって人も撮るようになったの。で、現在スポーツカメラマン。」
「そうだったんだ、でも本当久しぶりだね。」
幸次「Aは幸せそうだね、この子名前は？」
「真宙って言うの、よろしくね。」
幸次「旦那様そっくりだね。ニュースでAの名前を見た時は二度見して驚いたよ、おめでとう言えてなかったね。」
「アハハ、ありがとう。幸次も頑張ってね。」


幸次とは翔平と出会う1年程前に、3年付き合っていた。小さなすれ違いが重なり別れを選んだけれど、友達に戻ろうと円満に別れていたので顔を合わせても気まずくなく、懐かしくなり自然と笑顔になっていた。

懐かしかったなーなんてニッコリしながら席に着き前を見ると、こちらを見ている翔平と目が合った。
やばい。すごく不機嫌な顔をしている。何でも無いのって話に行こうとしたけれど背を向けてしまい、試合が始まった。


マウンドに上がった翔平はこちらに聞こえるくらいの声を出す気迫のあるピッチングで、次々に三振を奪っている。

ベンチではチームメイト達が「翔平気合い入ってるなー」なんて話していたけど、私にはモヤモヤをぶつけているように見えた。
エンゼルスは無事に勝利した。





夜になり翔平が帰って来た。
いつも通り「おかえり、お疲れ様」と声を掛ける。

『ただいま。ねぇ、あれ誰？』
やっぱり怒ってる。速攻で問い詰められた。

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