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目を覚ますと…車の中であった。シキマは車での移動中だった事を思い出す。もちろんシキマは助手席で、運転しているのは秘書の越栄在歩だ。

エリミネーター管轄機構福島支部に仕事で向かったその帰りであり、日が暮れ始めている頃だった。車での移動なのは、最近エリミネーター管轄機構福島支部の上層部が何者かによって殺されてたからである。それも、公共交通機関の中で。犯人は今だ見つかっていない。

現場の調査も兼ねて今回福島を訪れた。仕事のあと、車の中で眠ってしまったシキマは一足先に""夢""を見たというところだろう。

顔を見せないのは何故か、生きることは何かと聞くのも何故か、七年前、突然姿を消したのも何故か。その問いに、""夢""は答えなかった。『アレフ』とも呼びかけたが、""夢""は黙ったまま。

他人に答えを聞くなど俺らしくもないと思ったシキマは、答えが分からないなら見つければいいと割り切り、自分の生きる意味を""夢""に教えた。「そうだな、まずは」から始まり、「この国を変えることだ」と返答したあと、目を覚ましたのだ。


「今栃木入ったとこです。まだ二時間くらいありますから寝ていていいですよ」


シキマが目を覚ました事に気付いた在歩が、シキマにそう声をかけた。シキマが彼の運転で眠りこけてしまうのは珍しいことではない。「そうか」とシキマは返す。そのあと続けてこう話した。


「…夢を見た」

「そですか〜。どんな夢でした?」

「掠れた声をした白衣の男が出てくる夢」


この人が夢の話をするのは珍しいと思い、在歩は聞いていた。後に同じ夢を在歩も見ることになる。


「考えたことはないか。どうしてカニバリズムが東京に集まるのか」

「……また急ですねえ。東京に集まるように外側からカニバリズムの検査器具を完備して行ってるからじゃないんですか」


シキマからの急な質問や話題を振られることには、もう慣れた。シキマと長い付き合いであるならば当然である。


「そうだ。それから俺はこの街を、奴らの住みやすい街にしている。そうしなければならないからだ」


例えば武器。刃物や銃、爆弾など。厳しく取り締まろうと思えば出来るもの。現に、東京を出ると一気に所持が難しくなる。それだけでは無い。東京を出れば、最近は学校などでも入学するのにカニバリズムかどうか検査が必要になる。カニバリズムであった場合、静かに処理をされ、一般には周知されないようになっているのだ。


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作者名:まめだいふく | 作者ホームページ:まめだいふく  
作成日時:2023年3月21日 4時

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