【wrwrd!】奪い合い【ut/rbr】 (ページ6)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:102,290 hit

原点ページ6

sideロボロ
傷つき涙を流す幼馴染の頭を撫でながら俺は後悔した。

Aを泣かせるくらいなら大先生なんかに合わせなければ良かった。

…俺がちゃんと告白して、Aと付き合えば良かった。

今更考えたって行き着く結末はタラレバで、でも考えずにはいれられなかった。

俺にとってAは俺以上に大切だったから。

ーーーー
Aと俺は保育園から大学まで全て一緒というガチな幼馴染で、母親達の仲がめっちゃ良かった。
だからなのかはわからないが俺とAは趣味嗜好が近くて、好きな色、食べ物、ゲーム、漫画とかが全部同じで、一緒におるのが楽しかったから中学に上がるまではずっと一緒にいた。

でも中学に上がると男女の仲のいい幼馴染というものは話のネタにされてよく付き合ってるのか。と聞かれた。

それは当時の俺には嬉しい誤算で、
これを機にAは俺を男として意識しないだろうか。
なんて考えた。

俺はAのことが大好きやった。
Aが小さい頃から言っていたお嫁さんの夢は俺が叶えるんや。って思っていた。

でもそれを直接告げるには恥ずかしくて、
あと、断られてしまった時Aを失う可能性が怖くて自分からは一切動けなかった。

だから彼女から動いてもらおうなんていう俺の情けない期待も虚しく、Aはからかわれても全く気にせず

「ロボロは私の大事な幼馴染だもん。カレカノでも無いのに一緒にいるのがおかしいとか言われてもそんな事知らない。私はロボロといるのが楽しいから一緒にいるの。」

そうかっこよく言ってのけた。

その言葉は嬉しかった。
でも同時に悲しくもあった。
やっぱAにとっては俺はただの幼馴染で、
Aの夢を叶えられる存在じゃないのか。って。

それでも諦めきれなかった俺はずっとAにそばにいて、Aと学生時代を過ごして行った。

そして高校に入ってから、俺は大先生と同じクラスになった。
女たらしで、だらしなくて、いつも無能なのに時たま有能になる彼とは悪口を言い合いながらもなんだかんだ仲良くなった。
人としてはクズだったが、そんな大先生が俺は意外と嫌いじゃなかった。

でも女関係にはだらしなく、欲深かった全盛期のあいつは目ざとく彼女を見つけてしまった。

『俺さ、この間一目惚れしたんよ。』
『はー、またか。お前本当コロコロ変えるよなぁ。』
呆れたように言うとあいつはコロコロ笑って
『今度は長く持ちそうやねん！
隣のクラスのAちゃん？って子。』

楽しそうに笑うアイツを前に、
俺は戦慄した。