【wrwrd!】奪い合い【ut/rbr】 (ページ28)

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| 愛のかたまりページ28

sideロボロ

大先生はぽつぽつと言葉をこぼしていく。

｢まだ俺の事好きでいてくれたなら荒っぽいことしてもAちゃんなら許してくれるんやないかって最低なこと思ってたんや。でもそれがトリガーになったみたいでな。もう会わないでくれって言われてちゃってさ。

好きな人がおらんならまだこっち向いてくれるかもって、希望があった。でも好きな人出来たって言われたら無茶も出来んやんか。｣

大先生のその発言に、嘘であって欲しいという思いが止まらない。
この詐欺師が、ペテン師がついている嘘だと信じたくてたまらない。

Aに好きな人が出来た。

そんなこと...。

と思うものの、
大先生と別れ傷心し、見知らぬ土地に1人で置いて行かれて、働いていた彼女だ。心を癒してくれる男が居た可能性を完全に否定することなど出来ない。

今度こそAが好きだって伝えられる時だったのに。俺はまた伝えることが出来んのか。

泣き続ける大先生を前に、俺の目にも涙が浮かぶ。

俺はやっぱりAのヒーローにはなりきれんのか。
Aの夢を叶える男は俺じゃないんか。

悔しさとか悲しさとかが相まって静かに床に落ちる。

｢なぁロボロやっぱお前もAちゃんのことすきやったんやろ？｣

ぐずりながら大先生が俺に聞く。

｢あぁ、好きだったさ。お前なんかよりもずっとな。｣
｢そうか。2人して振られたなぁ。｣
｢俺はまず告白すら出来てないけどな。｣

大先生がどこかからハンカチを持ってきて俺に投げる。それで俺は涙を拭った。

｢Aちゃんはここにロボロがいないって知って、俺にブチ切れてこっぴどく振られてちゃんちゃん。
Aちゃんがどこにいるんかも俺は知らんし、これ以上Aちゃんに関われないんや。
後でもう1回連絡取ってみたらええんちゃうかな？
たまたま出れんかっただけかもしれへんやん。

あんな、俺すっげーわがままなこと言うとAちゃんのこと思い出すだけでこんなふうに泣いちゃうからさ、俺にこれ以上Aちゃんのこと聞かせんといて。｣

大先生は赤い目でぎこちない笑顔を作って俺に言った。

コイツのAに対する行動は目に余った。
こいつをぶん殴ろうと思ったことは数知れない。

でも、いざこうなってしまうと本当にこいつはただただ歪な愛でAを愛してたんやろうなとしか思えなかった。

Aに拒絶されて泣きじゃくるこいつは、100%愛で動いていたんだろう。

そう思うとこいつにこれ以上何も出来なくなって、俺は頷いて部屋から出ていった。

｢ほんま、ロボロ優しすぎ。チョッロ。｣
その声は届かなかった。