【wrwrd!】奪い合い【ut/rbr】 (ページ25)

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☆いつかの聖夜ページ25

クリスマス企画
本編とちょっとズレます。
三人が、まだ三人だった時のクリスマス。

ーーー
「ロボロォー！大先生ー！いるー！？」

教室のドアを思いっきり開けて入ってきたのは、隣のクラスのA。

『なんやA』
『おぉーAちゃんや。』

呆れる俺と隣で苦笑いをする大先生。

そんな俺たちを特に気にせずAは続ける。

「クリパしよ！クリパ！」

そう告げる彼女の目はキラキラしている。

『ええけど、どうせお菓子食べるだけやろ？』
なんだ恒例行事か。
なんて慣れてしまった俺は呆れた顔をしたまま、
もともと鞄に入ってる菓子でも出すか。と思っていると、

「そうやけど！ちゃうねん。うちケーキ作ったからうち来て食べよ！」

Aがケーキを作った？！

Aちゃんの家だって！！

思う所は違えど、俺たちは二人して目の色を変えた。

Aのケーキはマジで美味い。しかもあまり作らないから手作りはレアだ。

Aちゃんの家に行ったことないし、これはチャンスやろ。

『『よっしゃ行くぞ』』

俺と大先生の思考がリンクし、
帰宅する準備をし始めた俺らをみてAは満足そうにニコニコした。

「今年はねー大先生の分もあるからでっかいの作れたから楽しかったんだ！あ、もちろんショートケーキじゃないよ。安心してな！三人で食べるよ！」

帰り道も楽しそうに笑って、ケーキのことを話すA。

『えらい楽しそうやな。』
と言うと、

「大っきいケーキは上手く作れたし、三人でクリパが出来るんだよ？楽しいに決まってるじゃん！
ま、25日までに彼女できなかった大先生はご愁傷様やけど笑」

『うっ、ひっどいなぁ』
『いや、ほんまそれなw』

道路を三人並んで歩きながらケラケラ笑って、
Aの家へ向かった。

Aが作ってくれたケーキは本当に美味くて、
途中寄ったコンビニの新作菓子も当たりばかりで、
満腹になるまで食べて、忘年会でもするかのように駄弁り尽くした。

その時のAは本当に嬉しそうで、
大先生おらんとあかんのか。
なんて少し妬けたけど、俺もまぁ楽しくて、

「私この三人でいるのがほんっまに好き」

なんて満面の笑みを浮かべる彼女に、
同意してもええかなぁ。
とか俺も思ってしまった。

これは俺らがまだ三人だった頃の楽しい思い出。

ただただ、仲のいい三人でいれた頃の話。

あれだけ三人のクリスマスは楽しかったのに。
結局、その年以来この三人でクリスマスは過ごしていない。

おそらく、そんなクリスマスはもう永遠に訪れない。