【wrwrd!】奪い合い【ut/rbr】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:102,287 hit

1歩ページ2

「ただいまぁ」
ほろ酔い気分で家に帰るとそこには珍しく大先生がいた。

『Aちゃんおかえりー、飲んできたん？』
「おぉ、大先生。この時間におるの珍しいね。」
現在の時刻は夜の12時。
普通の同棲カップルであればいないとおかしい時間らしいが、初カレがこの人だから普通というものは分からない。

私の普通は
朝気づけば自分のベットにほかの女の子の匂いをつけたこの男が私のベットに入っている。
という感じだ。

もちろん昔ロボロに言ったら哀れまれた。

兎に角、夜中に会うのは2週間ぶりぐらいで驚いた。
しかも晩御飯まで作ってくれていたようだ。

もう少し早く帰ってくればよかったかな…
なんて思ってしまう。

元はと言えば浮気をしてた大先生が悪いし、
機嫌直しのための取り繕いだと分かっているのに、
どうも甘くなってしまう。
何気に大先生のこと大好きだからなぁ私。

あぁ、いけない。いけない。
これを繰り返したせいで私は小さい頃からの夢を叶えられてないんじゃないか。
決意よ揺らぐな。

『まぁ、約束破っちゃったお詫び。』
ふーん。と疑わしそうにしながら私は返す、
それもあっただろうけど素直に言うってことは
「どっちかって言うと遊ぶ相手がいなくなったから帰ってきただけでしょ？」
そう笑顔で告げると、痛いところ疲れたなぁ。みたいに苦笑いしていた。

これだけ長くいると嫌なことに、知りたくもない相手の本心まで分かってしまうものだ。

でも浮き足立ちそうだったその心が冷えていったからマシか…なんて落ち着きを取り戻し、大先生が座るリビングテーブルの前に行った。
テーブルに並ぶのは私の好きな料理ばかり、
浮気をする度に彼のレパートリーに私の好きな料理か増えていく。
でもこれももう終わりなのだと思うと少し寂しい気もしてしまう。

でも私は、私の気持ちも知らずにテレビを横目に見てへらりとするこの男と別れるんだ。

そうしなきゃ何も進まない。

1歩進まなきゃあの頃の私と何も変わらない。

後悔はしてない。けど大先生に告られた日に流された私とはサヨナラしないと。

「鬱くん話があるんだ。聞いてくれる。」

私の物言いに大先生がこちらを向いて固まった。
私が大先生の思考を読み取れるのだから彼もまた然り。私の顔を見て察したようでぎこちなく、何怖い顔してんの？て顔をしている。

ごめんな大先生。でも君も悪いでしょ？

決めたんだ。
中途半端な愛と中途半端な私は、この部屋に置いていくよ。