涙の理由さえ、／ky ページ8
「先輩…」
俺の声に、優しい声でどうしたの？と窓の外を見ながら返してくれる。
「無理…しすぎてるんじゃないですか」
A『君は本当に心配性だなあ』
花粉症ひどいだけだから大丈夫だよ、なんて笑って誤魔化す先輩。
どうして先輩は泣いてるのか、そんな野暮な質問はせずとも理由なんてわかっている。
「また…ですか」
先輩の目線の先には、本当なら先輩の隣にいるはずの人が他の女と手を繋いで歩いていた。
A『…うん。また、されちゃいました』
聞いてしまってもへらっと笑って返してくる。
A『もう何度目だっけね。…あいつがほかの女の子とキスしても、何してても私はあいつから離れられないの。どうしても、好きなの…』
おかしいよねこんなの、とまた力なく笑う。
長い睫毛が下を向く。
悲しいと、苦しいと、涙を流す姿でさえ美しい。
触れられるはずがない。
触れていいはずがない。
触れてしまえば後戻りはできない。
それでも俺の気持ちは溢れるばかりで。
溢れて零れてしまった気持ちの行先なんてどこにもないのに。
A『あいつね、私に何かあっても後回しなんだよ。すぐほかの子のとこ行っちゃうんだ。ほんと、私って何のためにあいつの彼女やってるんだろう。』
俺なら先輩を悲しませたりしないのに。
なんて喉まで出かかった言葉をぐっと飲み込んだ。
きっと言わずとも先輩は俺のこの気持ちに気付いている。
A『でも、こういう時いつも私を見つけてくれるキヨくんはヒーローみたいだね』
俺を見つめてありがとうと微笑んだ。
先輩の頬にはまた橙色の雫が伝う。
夕日に染る教室。
夕日に染るあなた。
夕日に染る涙。
その涙の理由でさえ、俺であればいいのに。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
切ないお話書きたかったんですけど思ったよりすごく難しい…(；；)
何回か手直ししてしまいましたすみません^^;
キヨさん10thおめでとうございます！！
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よねこ。(プロフ) - グリノワさん» リクエストありがとうございます！遅くなってしまうかもしれませんが、できるだけ早く作りたいと思いますのでお待ちください！ (2019年10月4日 23時) (
レス) id: 9f6b170c95 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - あの、フジさんとキヨさんの取り合いみたいなの作ってください！ (2019年10月3日 23時) (レス) id: b22c80f763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よねこ。 | 作成日時：2019年9月29日 15時
