秘めた想いは角砂糖に隠れる／ky ページ11
残暑も過ぎ、木々は紅や黄に色づき葉を落とす時期になった。
今日は幼馴染が東京に遊びに来る。
『キーくん！』
｢おう、久しぶり｣
ガラガラとキャリーケースを引きながらそれとは反対の手を大きく振る幼馴染。
｢荷物｣
そう言ってAの持っていたキャリーケースを受け取る。
『ありがと』
｢てかキーくんはやめろ。恥ずかしいわ｣
『えー昔はずっとそう呼んでたのに。可愛いのになあ』
もうそんな歳じゃねえだろ俺ら、と笑って近くのカフェに入る。
『こんなお洒落なお店入れるようになったんだ〜』
｢相変わらずうるせえなお前は(笑)こんくらい俺だって入れるって｣
なんていうのは嘘で、せっかく来るからってめちゃくちゃ調べた、なんてそんなことは恥ずかしくて口が裂けても言えない。
そんなことを思っているといつの間にかテーブルにはさっき注文したものが置かれていた。
『大人になったんだね、お互い』
Aは少し寂しそうに笑って、会うのいつぶりだっけ、と言いながら角砂糖を珈琲に落とす。
｢成人式ぶりだから5年くらいか。
A、また綺麗になったな｣
『ん！？』
｢なんだよ｣
『キヨがそんなこと言ってくれるとは思わなかった』
Aが角砂糖を溶かすのにクルクルとスプーンを回しながらぼそっとそう呟いた。
｢…悪かったな｣
俺が少しむんつけた言い方をすると、まあ化粧に頼ってどうにかこうにかなってるだけだからとAは自虐的に笑った。
｢元がいいんだから化粧なんか必要ないだろ。お前は何もしなくても綺麗だよ昔から｣
俺は何故かムキになって思わず俺らしからぬ言葉が出てしまった。でもこれは嘘じゃなくて本心だから。
はっとした時には遅かったが、耳を真っ赤にして目線は一向に合わせようとはしてくれなくなった。
『でもキヨは相変わらずかっこいいんだもんなあ。高校違くても大学行ってもモテモテだった話なんてよく私の耳にまで届いてたもん』
なんで、そんな寂しそうな顔すんだよ。
『今だって人気者で忙しいだろうに、ただの幼馴染のために貴重な時間とっちゃってごめんね』
そんな顔されたら期待すんじゃん。
｢…てない｣
『なに？』
｢俺はお前のこと、ただの幼馴染だとは思ってない｣
『え？』
｢だから、俺は｣
そこまで言いかけて、もう行くぞと店を出た。
｢幼馴染以上の関係になりたいと思ってる｣
要らない意地が邪魔をする。
俺の意気地無し。
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よねこ。(プロフ) - グリノワさん» リクエストありがとうございます！遅くなってしまうかもしれませんが、できるだけ早く作りたいと思いますのでお待ちください！ (2019年10月4日 23時) (
レス) id: 9f6b170c95 (このIDを非表示/違反報告)
グリノワ(プロフ) - あの、フジさんとキヨさんの取り合いみたいなの作ってください！ (2019年10月3日 23時) (レス) id: b22c80f763 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よねこ。 | 作成日時：2019年9月29日 15時
