記者 ページ29
ドボドボと帰って来たA。
事あるごとに臣との関係を聞かれて、その度に同じ答えを返した。
疲れた…
自然ともれるため息。
結婚なんかしたら…
どうなっちゃうんだろ…
そう思った矢先。
※「おっ、あの子じゃないかっ！？」
バタバタと駆け寄ってくる足音。
※「すいませーん。Aさんだよね？」
「えっ…。」
※「登坂広臣さんとの結婚についてインタビューさせてくれません？」
「あのっ…。」
アッという間に囲まれた。
※「馴れ初めなんか聞けるかなぁ？」
※「プロポーズはいつですか？」
※「指輪見せてくれます？」
通り過ぎる住民がチラチラ見ては行き過ぎる。
「わ…私…。」
※「少しでいいから。お願いしますよー。」
「そういうのは…。」
※「式の予定は？」
「ご、ごめんなさい…。」
記者たちをかき分けると来た道を戻るように走り出す。
※「あ、なんで逃げるの！？」
ヒールで躓きそうになるのを堪えて走る。
追いかけられて、恐怖の方が募って行った。
息が切れて走れなくなって、膝に手をつく。
後ろを振り返ればまだ追いかけて来ていた。
「どうしよ……。」
辺りをキョロキョロ見回すと、腕を急にグイッと引っ張られた。
「キャッ…。」
口を抑えられて、狭い路地に引きずり込まれる。
な…何…？
※「どこ行った？」
※「逃げられた〜。」
そんな声の後、ドタバタとたくさんの足音が去って行く。
近すぎる距離。
フワッと鼻をくすぐる匂い。
この…
匂い…
口を抑えられたまま。
視線を持ち上げる。
車が通り過ぎると、ライトで分かる。
壱馬…くん…
騒がしさが過ぎ去ると、口を塞いでいた手を離した。
KZ「行ったか…？」
静かに出る路地。
KZ「大丈夫そうだ。」
手を差し出した壱馬。
KZ「戻ってくる前に行こうぜ。ほら。」
「壱馬くん……どうして…。」
思いっきり歪めた顔が壱馬を見つめていた。
KZ「事務所の前にもたくさんいた…。大騒ぎだよ。だからもしかしてって思って来てみたら案の定だ…。」
戻って来ないか気にして振り返る。
KZ「とにかく、ここにいたら面倒だ。一旦離れよ。」
そこから動いてくれないAの手をさらう。
クイッと軽く引き寄せた。
KZ「早く。行くぞ。」
温かいぬくもりに引かれて、細い路地を足早に進んでいく。
大通りに出る壱馬は、手を上げてタクシーを止めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい(プロフ) - 更新お疲れ様です！ヤバいです！壱馬がどんどん動き出しててドキドキしてます！ (2019年5月28日 1時) (
レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - ゆいさん» わーごめんなさい！段々物語が動いていくので楽しみにしててくださいね！ (2019年5月25日 8時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - いいとこで終わってしまいました（涙）続きが気になります(〃ω〃) (2019年5月24日 23時) (レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - ゆいさん» 二人とも諦めちゃダメ！って思いながら書いてます。いつも読んでくれてありがとう。 (2019年5月23日 6時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - りなgさん» 強引ですけど、ホントに好きな人からのサプライズだったらこんな嬉しいことはないんですけどね。 (2019年5月23日 6時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年5月17日 20時
