ありのまま ページ12
KZ「やっと…笑ってくれましたね…。」
「え…。」
KZ「もう…俺には笑ってくれないかと思ってました…。」
見上げる壱馬と見下ろすA。
KZ「封筒の中身。見てくれましたか？」
「あ…うん…。」
KZ「一緒に行きませんか？」
乗り出していた身を戻して手すりに寄りかかる。
「壱馬くん…。」
KZ「何ですか…？」
「聞いてもいい…？」
KZ「はい。俺で答えられることなら。」
"普通に恋をして…普通に結婚して…"
やっぱり過ぎらせてしまう。
ナオトの言葉。
KZ「Aさん…？」
「あなたも………。」
携帯を握る手に力がこもった。
「あなたも…芸能人…なの…？」
芸能人…
そんな聞かれ方をしたのは初めてで驚いた。
壱馬は植込みの端に腰を下ろした。
KZ「俺は……THERAMPAGEの川村壱馬です…。」
Aはギュッと目を閉じた。
やっぱりあなたも…
普通じゃない人…
なのね…
KZ「すいません…。隠してた訳じゃ…。」
「ごめんなさい…。遊園地は…行けないわ…。」
KZ「どうして…？」
「用があるの…。切るわね…。」
KZ「待って！」
下ろしかけた携帯。
耳に戻した。
KZ「言いたくなかったんだ…。」
あんたには…
KZ「確かに俺はRAMPAGEだけど…。」
登坂さんに憧れた…
まがいものだけど…
KZ「こうしてここにいる俺は…ただの男だよ…。」
ゆっくり振り返ると地上を見た。
KZ「RAMPAGEって言えば…LDHだと言えば…喜んで付いてくる人間はいくらでもいる…。でも…俺は…。」
植え込みから立ち上がると、Aを見上げた。
KZ「……俺は俺で…あんたといたい…。」
RAMPAGEじゃなくて…
芸能人じゃなくて…
まがいもんじゃなくて…
KZ「あんたを好きになったのは…ただの川村壱馬だ…。」
耳から携帯を下ろす壱馬。
スゥッと息を大きく吸った。
顔を覗かせているAを見つめる。
KZ「あんたが好きだっ！」
大きな声が朝のマンションに響き渡る。
KZ「俺は俺だっ！！」
顔を歪めるA。
KZ「信じてくれるまでここで叫ぶよっ！」
何事かとベランダに人が出てくる。
頬にポロッと落とした涙。
たまらずしゃがみ込んだ。
壱馬はもう一度携帯を耳に運ぶ。
KZ「やっぱり…そっちに行っても…いいかな…。」
抱きしめたい…
この腕で…
思いっきり抱きしめたい…
聞こえてくるすすり泣く声。
困った顔で笑う壱馬は、ゆっくりロビーへ向かって歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい(プロフ) - 更新お疲れ様です！ヤバいです！壱馬がどんどん動き出しててドキドキしてます！ (2019年5月28日 1時) (
レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - ゆいさん» わーごめんなさい！段々物語が動いていくので楽しみにしててくださいね！ (2019年5月25日 8時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - いいとこで終わってしまいました（涙）続きが気になります(〃ω〃) (2019年5月24日 23時) (レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - ゆいさん» 二人とも諦めちゃダメ！って思いながら書いてます。いつも読んでくれてありがとう。 (2019年5月23日 6時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - りなgさん» 強引ですけど、ホントに好きな人からのサプライズだったらこんな嬉しいことはないんですけどね。 (2019年5月23日 6時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年5月17日 20時
