また、アシタ… 3 (ページ29)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:44,469 hit

忠告ページ29

自宅に辿り着いたのは、オレンジの空が終わりかけた頃。

※ME「立花A。」

名前を呼ばれて足が止まる。

振り返れば、超ミニスカート姿で細い足をスラッと覗かせた萌。

止まっていた車にもたれかかっていた身体を起こす。

あの子…

あのCMで恋人役だった…

すぐに気付いた。

※ME「そうですよね？」

「……はい。何か…？」

萌は顔を寄せてAをマジマジと見る。

Aは戸惑った顔で身を引いた。

「……あの。」

※ME「ふーん…大したことないのね。」

「は…？」

細い腕を組む。

上から見下すような視線。

※ME「神崎萌です。知ってますよね？」

名前まで知らなかった…

Aは愛想笑いをした。

※ME「最近、玲於があなたのことを話すから、どんな女かと思って見に来てみれば。」

「玲於…くん…？」

※ME「あぁ。私、玲於の彼女。」

「えっ……。」

※ME「これは知らなかったでしょ？こういう仕事してると、公に出来ないことも多くてね。」

自信たっぷりな嫌な笑み。

「あの…彼女って……。玲於くんと…お付き合いを…？」

※ME「彼女の意味が他にあります？」

「だって…。」

この間のデート。

キスの名残を思い出すように撫でた唇。

※ME「この間、渋谷でデートしたんでしょ？」

「え…どう…して……。」

※ME「そういう事はちゃんと報告してくれるの。玲於って結構連絡マメなのよね。」

「報……告…？」

※ME「分かってると思いますけど、一応言っときますね。」

組んでいた腕を解いて腰に手を当てる。

※ME「芸能人と同じマンションに住んでて、仲良くしてるからって、勘違いしないで下さいね？」

「勘違い…？」

※ME「制約の多い仕事してると、そういうとこで発散したくなっちゃうのよ。でも、本気なわけじゃないから。」

発散……

※ME「玲於も仕事大変だし、私も売れてるからなかなか構ってあげられなくて大目に見てるけど、本気になられちゃたまんないから。」

言われるがまま。

※ME「忠告、しましたからね？」

長い髪を揺らして車へと戻って行く萌。

バタンと音を立てて乗り込んだ車は去っていく。

それは…

遊びってこと…？

RO「バカだな。本気にしたのかよ(笑)」

そう言って笑う声が聞こえるようだった。

ズキン…の痛む胸。

息苦しさが込み上げて顔を歪める。

胸元をギュッと握りしめてマンションの壁にもたれると、ズルズル伝ってしゃがみ込んだ。