郵便 ページ7
その夜。
RO「じゃ、またな。」
マンションの前で降りたタクシー。
後部座席のウィンドウが音を立てて下りた。
MD「明日は寝坊しないでよ(笑)」
RO「しねーわ。たまたまだよ。」
MD「お疲れ様。」
RO「メンさんも。気を付けて。」
MD「お休み。」
ゆっくり走り出すタクシー。
道に出て見送る。
角を曲がって見えなくなると、振っていた手を下ろした。
明かりの灯るマンションのロビー。
キュッと響いたスニーカーの音。
肩からずり落ちかけたリュックを担ぎ直して、ポストの前に立つ。
相変わらず、どこから来るのか。
何枚かのDMをクシャッと握りつぶした。
ふと、視線を持ち上げれば目に入る。
立花
の表札。
上に誰が住んでるか…
なんて考えたこともなかった…
偶然…？
雨の都会で…
たまたま出会って…
ほんの一瞬で…
名前さえ知らなくて…
それが…
再会したと思ったら…
自分の住んでるマンションの…
俺の部屋の真上…
そんなことあるか…？
どんなによく出来たドラマだって…
そこまで偶然…
重なるか…？
偶然じゃなかったんなら…
なんだ…？
必然…？
ストーカー？
俺狙われてる…？
いや…
だとしたら…
定期を渡した時の反応…
あれは不自然だ…
そういう類なら…
もっと反応してもいいはず…
RO「訳わかんね…。」
クシャッとかいた髪。
下ろしかけた手。
指先がそっと触れる立花の文字。
その時。
？「あの。ウチに何か？」
RO「えっ！？」
ハッとして指先を引っ込めては慌てて振り返る。
立っていたのは細身のスーツをまとった女性。
RO「あ…いや、すいません…。俺んち…ここで、その…。」
？「もしかして、郵便間違って入ってましたか？すみません…。」
RO「えっ、あ、そうじゃなくて…。」
「この間もお隣さんのとこに紛れてたみたいで。ホントにごめんなさい。」
苦笑いしながら開けるポスト。
たくさんの郵便を引っ張り出す。
一枚ずつ眺めながら歩き出す背に思わずかけていた声。
RO「あのっ！」
？「はい？」
振り返るのは穏やかな微笑み。
RO「いえ…なんでも…ありません。」
語尾を小さくして俯く玲於。
不思議そうに首を傾げる女性。
？「今度間違えてたらまた教えてください。ちゃんと文句言いますから。」
RO「あ…はい…。」
？「おやすみなさい。」
RO「おやすみ…なさい…。」
立花の郵便物を手に、女性は一人エレベーターに乗り込んだ。
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mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
