誘い ページ47
ブルブル…
朝っぱらから、元気に震える携帯。
目を閉じたまま、手を伸ばして探る。
指先の感触だけで、携帯を掴みあげた。
おはようございます…
白濱です…
突然ごめんね…
玲於に連絡先を聞きました…
今夜…
LDH主催のパーティがあって…
良かったら来ませんか？
眠たい頭が身体を起こす。
ヒタヒタとリビングへ出ると、栞がコーヒーを入れていた。
SI「おはよ。」
「…おはよ。」
テーブルに携帯を置きっぱなしにして洗面所へ行くA。
二人分のカップを持ってくる栞は、表示させたままの画面を視界に入れた。
SI「はい。コーヒー。」
「ありがと…。」
手渡されたカップを口に運びながら、変えるテレビのチャンネル。
栞は自室へ入ると、直ぐに出て来た。
SI「ねぇ、A。」
「んー…？」
SI「見て、これ。」
振り返れば淡いピンクのワンピース。
「そんなの持ってた？」
SI「友達の結婚式の二次会で着ただけの可哀想なワンピースよ(笑)」
「可愛い。」
SI「そう？じゃあ、あなたにあげる。」
「え？」
栞はクリーニングの袋がかかったままのワンピースを、Aの膝にのせた。
SI「行ってらっしゃい。パーティー。」
「………見たの？」
SI「見えたの。いい気分転換よ。」
「そんなとこ行っても…。」
SI「今のAには、笑える事が必要。」
「……でも。」
SI「姉命令。ね？楽しむ努力はしないと。」
うん、と頷けなくて膝を抱える。
栞は隣に腰を下ろすと、膝を抱える腕に手を乗せた。
SI「絶望だけの人生なんて、ないのよ？」
必ず希望の光はある…
それは…
佐野くんかもしれない…
結末はあくまで結末…
未来は…
変わる…
SI「ダンスが出来なくなって、ピアノしか残らなかった時のあなたもそうだった。でも今は違うでしょ？」
諦めた瞬間…
それが絶望なの…
今はまだ…
笑っていることが出来るなら…
笑えばいい…
SI「あなたの笑顔まで奪われることは無いわ。」
「お姉ちゃん…。」
SI「遅くなっても許してあげるから、それ着て行ってらっしゃい。」
ワンピースを抱きしめる。
「……分かった。ありがと…。」
嬉しそうに微笑むと、栞はAの頭をそっと撫でた。
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mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
