待ち合わせ ページ42
プルルル…
現実に引き戻す携帯の音。
ハッと我に返ると、ピアノの袂に置いたカバンから携帯を引っ張り出した。
「もしもし？」
RO「どこ？」
「学校。」
RO「恵比寿な。」
「えっ、今から？」
RO「今すぐ。なう！」
「ピアノの練習があるの。」
RO「明日も出来る。待ってっから。」
「あっ、ちょっ。」
プツッと切れた電話。
あまりに強引で一方的。
ついたため息は直ぐに笑みに変わった。
カバンを掴んで音楽室を出る。
歩きながらイヤホンを取り出して耳に突っ込んだ。
電車に乗って恵比寿まで。
「恵比寿のどこよ…。」
改札を出て真っ直ぐ歩く。
ガーデンプレイスの広場。
建物の壁に寄りかかる玲於がいた。
なんか…
不思議な感じ…
16歳の時見たあなたは…
もっとあどけなくて…
もっと雲の上の人だったのに…
私を待ってるなんてね…
感じた視線に顔を上げる。
少し離れたとこから、自分を見つめていたAを見つけると軽く手を挙げた。
「お待たせ。」
RO「待った。」
「そんなでもないでしょ。」
RO「今お待たせって言ったろ？」
「やっぱ待たせてない。」
RO「だいぶ待った。」
「待ってない。」
RO「なんで分かるんだよ。」
「あーもう、ほら。ピアノ放ったらかして来たんだから。」
RO「ピアノは逃げねーよ。」
「ダンスなら同じこと言えないくせに。」
上目遣いで見る玲於の顔。
RO「腹減った。」
「じゃ、ご飯食べよ。」
ゆっくり歩き出す二人。
小さな手がスッとさらわれると、ギュッと握られた。
少し驚いて握られた手を見る。
照れくさそうに唇を噛んで、繋いだ手をジャケットのポケットに突っ込んだ。
RO「手が冷たい。」
「心が温かいのよ。よく言うでしょ？」
RO「手袋買お。」
「誰の？」
RO「Aのに決まってんだろ。」
「いらない。」
RO「なんで？」
玲於のジャケットのポケットの中で、ギュッと握り返された手。
「手袋買ったら、あっためて貰えない。」
RO「じゃあ、お揃いで。俺と一緒じゃない時も、俺があっためてるみたいだろ？」
「玲於くんが、選んでくれるの？」
足を止める玲於。
繋いだ手が引っ張られた。
RO「な、オーレーオレオレオレーって歌ってみ。」
「え？」
言われたとおり歌う。
RO「俺の名前は？」
「…レオ？」
RO「よし。」
「何それ…。」
RO「忘れんなよ。」
そう言って、玲於はまた歩き出した。
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mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
