心配 ページ33
荒い呼吸が、少しずつ落ち着いてくる。
大きな波が引いて、顔色を取り戻して行くA。
Aの傍で、ただじっと、その様子を見ていた玲於。
「…もう…大丈夫だから。」
壁に預けていた身体を起こした。
何度か深呼吸を繰り返した。
RO「…よくあんのか？こういう事…。」
「時々…。」
RO「医者に行った方が…。」
「行っても…何も出来ない…。」
足を踏ん張って立ち上がる。
Aは玲於の服の袖をギュッと握った。
「誰にも言わないで…。」
RO「えっ…。」
「お姉ちゃんにも…誰にも…。」
疲れた顔なのに、キッと強い視線。
「約束して…。」
RO「あんなに辛そうにしてんのに…なんでそれを隠す必要が…。」
「約束出来ないなら…今見た事はここで忘れて…。」
RO「そんなこと出来るわけないだろ…。」
握っていた服を離した。
RO「病気の話…本当だったのか…？」
「聞くだけ無意味…。」
RO「どうして…？」
「誰も…何も出来ない…。」
RO「なんだよ…それ…。どういう意味だよ！？」
「とにかく…他言しないで…。誰にもよ…。」
玲於に背を見せると、階段を降りようとする。
引き止めるように、細腕を掴んだ。
RO「待って。そんな状態で1人で帰んのか！？」
「もうおさまった…。嵐が過ぎれば何ともない…。」
RO「せめてお姉さんに連絡して迎えに…。」
「分かんないわね！言うなって言ってんのよ！」
掴まれた腕を払った。
「本人がそうしろって言ってるの！とやかく言われたくないっ！」
ズキッとする胸に反応して、声のトーンを戻そうと装う。
「1人で平気…。心配しないで…。」
そう言う声が震えていた。
やっぱりキミは…
俺に似てる…
そうやって…
1人で背負い込もうとする…
キミが助けを求めさえすれば…
掴んでくれる人は…
沢山いるはずなのに…
悲しそうな顔でAを見つめる玲於。
「何よ…そんな顔で見ないでよ…。同情なんてごめんよっ！」
スッと伸びた手。
Aの怒声を遮るように、細い身体は抱きしめられた。
「……え。」
RO「同情なんかしてない…。ただ素直に…心配なんだ…。」
甘い匂いが鼻をくすぐった。
RO「心配するのは俺の自由だろ…？」
どうしていいか分からない指先をキュッと握る。
RO「今日は学校へ行くな…。俺が送って帰る…。」
誰にも言わないから…
せめて俺にだけでも…
心配されろ…
強ばる身体の力が抜けるのを感じた。
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mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
