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次の日の朝。
携帯をいじりながら、エレベーターの前に立つ玲於。
小さな合図音がして顔を上げる。
ゆっくり開く扉の向こう。
箱の中には、Aが立っていた。
乗り込んでボタンの前に立つ。
RO「お、おはよ…。」
「…おはようございます。」
素っ気なさすぎる挨拶。
機械音だけの箱の中が、あまりに居心地が悪くて、ソワソワする玲於。
RO「…あのさ。」
「はい…？」
RO「一昨日…病院に行かなかった？」
「えっ…。」
玲於はゆっくりと振り返る。
RO「人とぶつかったでしょ？」
「どうして…？」
RO「楽譜、落とさなかった？」
「えっ！？」
ハッとしてカバンの中のファイルを探る。
「1枚足りない…。やだ…気付かなかった…。」
RO「亜嵐くんが持ってる。」
ロビーで口を開けたエレベーター。
降りる玲於に続くA。
RO「これから学校？」
「はい…。」
RO「少し時間ある？」
「え…あ、コンクールの練習しようと思ってただけなので…。」
RO「じゃあ、ちょっと付き合わない？」
「ど、どこにですか…？」
RO「楽譜、取りに行こ。」
「え…。」
RO「亜嵐くんが、直接返したがってるんだ。」
「でも…。」
RO「みんなも、キミに会いたがってる。」
「えっ、なんで…。」
RO「メンさんが、一緒に飲んだ時の話しまくっててさ(笑)」
玲於はAにそっと手を差し出した。
RO「貰ったら帰ればいいから。ね、行こ。」
穏やかに微笑む。
持ち上げた小さな手。
遠慮がちに伸ばしたのに、途中で指先をキュッと握りしめた。
叶わないことは望まない…
掴めないものには手を伸ばさない…
「捨てて下さい…。無くても弾けますから…。」
目を伏せて玲於の横を過ぎようとする。
差し出していた大きな手が、細い腕を掴んだ。
RO「一緒に来てもらう。」
「ちょっ…。」
RO「大事なもんだろ。」
「楽譜なんか見なくても全部頭に入ってるの！」
RO「じゃあ、貰って自分で捨てろ。」
強引に引っ張る腕。
ムカついたんだ…
捨てろ…
なんて簡単に言うから…
きっとキミは…
俺と似てる…
強がって…
意地張って…
弱みなんか決して見せたくない…
同情や哀れみなんか…
まっぴらごめん…
甘えるのは下手だし…
笑うのだってうまく出来ない…
この時思ったんだ…
だから…
気になって…
惹かれるのかもしれないって…
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mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
