胸の内 ページ23
RO「どーも…。」
どんな顔をしたらいいか分からなくて、視線が定まらない。
「どうして…ここに…？」
RO「え…あーっと…。」
ポケットの中に手を突っ込んで思い出す。
RO「これ…。」
「…何？」
RO「間違って投函されてた…。早く…欲しいと思って…。」
封筒の端を掴む。
玲於の顔を見ると、指先で封を破った。
中から取り出した紙切れ。
カサカサ…と音を立てて開けば、すぐにフッと笑みをこぼした。
RO「いい知らせだった…？」
「大学で1年に1度開催されるコンクールの予選会があったの。その知らせ。」
紙切れをひっくり返して見せてくれた。
通過
の文字が素っ気なく印刷されているだけ。
RO「良かったね。おめでとう。」
自然と玲於の顔に広がった笑み。
RO「俺も経験あるんだ。オーディションの結果がなかなか届かなくて落ち着かなかったのを思い出した(笑)」
折り目に沿って畳んだ紙を、封筒に戻す。
「見るまでもない。」
RO「え。」
「予選会なんか形だけ。本線までは適当に弾いても同じ知らせが来る。」
折り目に沿って畳むと封筒に戻して、クシャッとカバンに突っ込んだ。
RO「適当に弾いたの…？」
ピクンと揺れる肩。
RO「弾きたくないのに、なんで弾いてるの…？」
カバンを掴んで肩に引っ掛ける。
「色々あるのよ(笑)」
わざとらしい笑み。
足早に音楽室を出て行くAの背中を追いかける。
木漏れ日の暖かい校内。
さっきより人が増えてる気がした。
RO「色々って？」
「色々は色々。」
RO「じゃあ病気の話は？」
「あんな奴らの言うこと間に受けないで。」
取り合いたくなさそうな、かわすような返事。
玲於は細腕を思わず掴んだ。
RO「なんではぐらかすんだよ…？」
「玲於くんには…関係ないでしょ…？」
RO「そうだな。関係ないよ。」
俺にも分かんない…
なんでこんなに気になんのか…
でも…
涼太くんの言う通りだ…
知らないから気になる…
気になるってことは…
知りたいんだ…
それに…
寝言だとはいえ…
あんな声で泣かれて…
見て見ぬふりなんか…
「玲於くん…。私の事は放っておいて…。」
掴まれた腕をそっと解く。
「この前は…送ってくれてありがとう…。手紙も…。」
口元だけを緩める。
「迷惑かけてごめんなさい…。それじゃ…。」
揺れるスカートの裾。
玲於は重たいため息をついて、小さな背中を見ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「EXILETRIBE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mamari(プロフ) - りなさん» 以前も読みに来てくれてましたよね。ありがとうございます！ (2018年10月25日 18時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - やっと付き合えた！って思ったのに...。どんな風になっていくのか気になってしょうがないです（笑） (2018年10月25日 2時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mamario | 作成日時：2018年10月13日 19時
