検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:59,216 hit

悲しい笑顔 ページ9

キーンコーンカーンコーン…


終業のチャイム。

軽いカバンに筆記用具だけを詰め込む隼。

肩に引っ掛けて出る教室。


RY「隼。そんなに急いでどこ行くの?」


教材を腕に抱えて自分のロッカーを開ける涼太。


HT「亜嵐くんのとこ。」


振り返って笑顔で手を振る。


RU「あいつ、大丈夫か?」

RY「大丈夫って?」

RU「気付いてんのんか?」

RY「何を?」


額に手を当てて呆れたように首を振る龍友。


RY「何、何?」

RU「思い詰めとるやろ。」

RY「思い詰める?」

RU「ほんっとに鈍臭いやっちゃのー!」

RY「回りくどい言い方するからじゃない。」


教室から出てきたメンディーと裕太。


MD「隼、玲於が記憶なくしてるって分かってから、毎日亜嵐くんのとこ行ってるでしょ?」

RY「それが?」

YT「あかん。涼太はほっとこ。」


三人共、涼太を置いて歩き出す。


RY「ちょっと、ちょっと!何だよ!ちゃんと説明してよ!」


教室から急いでカバンを取ってくる涼太は、三人を追いかけた。


同じ時。


ずっと玲於に向けている背中。

ドキドキより、息苦しい感じだけが増していく。


RO「…ごめんね。」


……え


小さな声に反応して振り返ってしまったA。

玲於はとても寂しそうに微笑んでいた。


RO「忘れちゃ…ダメな人だったんだよね…?」


何度も繰り返した…

キミの名を…

何度もひっくり返した…

自分の頭の中を…

でも…

何も無いんだ…

自分でも怖いくらい…

みんなが知ってることが…

俺には何も無い…


ベッドの淵に腰掛けたまま、玲於は小さく頭を下げる。


RO「ごめんなさい…。」


顔を歪めたまま。


「…謝らないでよ。」


余計…

寂しくなるじゃない…

もう…

二度と思い出せないって…

言われてるみたいじゃない…


ギュッと小さな拳を握りしめる。

その瞳を目いっぱい潤ませるのに、Aは何故か笑って見せていた。


「そんなことより、早く元気になって。」


そう言って。


「じゃあ、私、帰るね。」

RO「あっ!」


数歩後ずさる足を止める。


RO「また…来てくれる…?」

「どう…かな…。今ね、亜嵐くんのお手伝いしてるの。だから…それが無い時なら…。」

RO「そっか…。」


カバンの紐を強く握った。


「それじゃ…。あんまり…無理しちゃダメだよ。」


言葉を置いてくるように言うと、Aは足早に病室を出た。

隼の決意→←一般病棟



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
210人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 佐野玲於 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しをちゃ(プロフ) - 久々読み返させていただいてただただ泣きました!ほんと素敵なお話でした! (2019年6月25日 12時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
片寄みゆな(プロフ) - あぁ感動泣きすぎてやばいです、、、笑 (2018年9月9日 2時) (レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - まぁさん» ありがとうございました。geneのワイワイした感じって彼らの代名詞みたいなものですよね。なので欠かせなかったです。個々の印象とも遠からずで書けたのではと勝手に思っています。次回作ももう構想があるので、近いうちに形にしていけたらまた是非読みに来て下さい (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - りなさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。 (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 完結おめでとうございます!私も玲於君が大好きなので、更新を楽しみに読ませていただいてました。GENEの仲良しな感じもリアルとだぶってとっても面白かったです。また是非新しいお話もお待ちしてます! (2018年7月3日 10時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mamario | 作成日時:2018年6月12日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。