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ポケットの中身 ページ29

一人店を出る玲於。

右を見て、左を見て、歩き出す。

薄暗い路地を、足が進む方へ。


身体が自然と向かうのは、自分の家とは違う方向。

等間隔で立っている該当が、足元を照らしてくれていた。


もう何度も聞いたんだ…

俺自身に…

あいつの記憶だけが消えたことの意味を…

みんなにある事が…

俺にない…

その理由を…

でも答えなんか無くて…

募っていくのはただ…

明日も会いたい…

側にいて欲しい…

それだけ…


見えてくる住宅街の中でも目立つ大きな家。

玄関先に灯っている明かりが、在宅を告げていた。


感じるままに…

思うがままに…

あいつに触れれば触れるほど…

心臓の音が大きくて…

うるさくて…

息苦しいんだ…


玄関の扉の前に立って、ゆっくりと伸ばす手。


だから…


ほんの少しためらった後。

指先に触れるインターホンを押した。


ピンポーン…


静かな家に響く音。

パタパタと微かな音を感じれば、開かれた扉。


「はい…。」


チェーンをかけた状態で、隙間から覗いた顔。


RO「よ…。」

「玲於!?待って、今開けるから。」


慌ててバタンと一度閉めた扉を大きく開いた。


「また逃げてきたの!?」

RO「逃げたとか言うな…。人聞きわりーなぁ…。」

「だって…。」

RO「退院したんだよ。」

「えっ。いつ?」

RO「今日。さっきまで亜嵐くんのとこにいた。お前、あそこでバイトしてたんじゃねーの?」

「あ…今夜は隼くんに誘われてお家でご飯ご馳走になってたから…。」

RO「隼んちで飯って…。」


親に会わせるほどの関係…

ってことか…?

そんなに進展してんのかよ…


「韓国料理出してくれたの。美味しかったよ。」

RO「随分仲良くやってんだな…。ここに泊まってんだろ…?」

「えっ…。誰がそんなこと…。」

RO「小耳に挟んだんだよ。」

「あれは…寝不足でふらついてたから付き添ってくれただけで…。何にもないよ!?」

RO「なんかあったなんて言ってねーだろ…。」


ぶっきらぼうな感じが冷たく聞こえてしまう。

気まずくなってしまう空気。

こんなはずじゃなかったとため息をつく玲於。


ズボンのポケットに突っ込んだ手を、すぐに引っ張り出した。

握りしめていたクシャクシャの紙切れ。


RO「これ…。」


やっぱりぶっきらぼうに差し出す。

指先が触れ合わない程度に受け取るAは、クシャクシャの紙切れを伸ばした。

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設定タグ:GENERATIONS , 佐野玲於 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
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しをちゃ(プロフ) - 久々読み返させていただいてただただ泣きました!ほんと素敵なお話でした! (2019年6月25日 12時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
片寄みゆな(プロフ) - あぁ感動泣きすぎてやばいです、、、笑 (2018年9月9日 2時) (レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - まぁさん» ありがとうございました。geneのワイワイした感じって彼らの代名詞みたいなものですよね。なので欠かせなかったです。個々の印象とも遠からずで書けたのではと勝手に思っています。次回作ももう構想があるので、近いうちに形にしていけたらまた是非読みに来て下さい (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - りなさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。 (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 完結おめでとうございます!私も玲於君が大好きなので、更新を楽しみに読ませていただいてました。GENEの仲良しな感じもリアルとだぶってとっても面白かったです。また是非新しいお話もお待ちしてます! (2018年7月3日 10時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mamario | 作成日時:2018年6月12日 18時

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