想い ページ18
緩んでいく口元。
「…出来ないよ。」
KZ「なんでっ!?」
ゆっくり持ち上がっていく顔。
今にもこぼれそうな涙を溜めているのに、微笑むAを見て、壱馬はハッとした。
「壱ちゃん…心配してくれてありがと…。」
掴んでいた手から抜ける力。
「いつも…壱ちゃんには心配かけっぱなしだね。」
どんどん顔の歪んでいく壱馬。
「私も思ったよ。忘れた方がいいって。」
でも…
無理だった…
誰か別の人に…
気を移そうとも思った…
けど…
考えるのはいつも玲於のこと…
「元気にしてるかな…とか、今何考えてるかな…とか。みんなと笑ってるかな…とか。」
玲於が事故に遭ったって聞いて…
心臓が止まりそうだった…
怖くて…
怖くて…
泣き崩れたいのに…
気付いたら…
飛行機に乗ってた…
「私のこと、覚えてないって分かって苦しかったけど…それ以上に…生きててくれて良かったって思えるの…。」
KZ「なんで…。」
壱馬はギュッと拳を握りしめる。
KZ「なんでそんなにあいつがいいんだよっ!?」
「なんでかな…。私にも分かんない。」
でもね…
一つだけ分かることがあるの…
それはね…
顔を上げてこれでもかと笑うAの頬にこぼれた涙。
「好きなの…。」
どんなに私のことが分からなくても…
どんなにそれが辛くても…
「玲於が好きなの…。」
一粒こぼせば後から後からこぼれていく。
壱馬はたまらず細い身体を抱きしめた。
KZ「バカ…。お前ホントにバカだよ…。」
ヘヘッと笑うのに、震える肩。
「ごめんね。壱ちゃん……。」
ごめん…ね…
KZ「謝んな…。ったく…。」
パタン…と小さな音が裏口の扉からした。
寄りかかる隼。
天井を見上げて深くため息をつく。
AL「お前も、バカだな。」
HT「うるさいな…。」
AL「でも、好きだよ。お前のそういうとこ。」
伸びた手が隼を抱き寄せる。
HT「嫌だったんだ…。泣いてるのが…。」
AL「うん…。」
HT「亜嵐くん…ボク……。」
AL「いいんだよ…。分かってる…。」
HT「ボク……。」
分かってるよ…
隼…
どんなに想っても…
届かない想いもある…
でも…
お前のその気持ちは…
ちゃんとAに届いてる…
だから…
泣かなくていいんだよ…
まるで子供をあやす様に、亜嵐は隼の身体をポンポンと叩いてあげた。
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しをちゃ(プロフ) - 久々読み返させていただいてただただ泣きました!ほんと素敵なお話でした! (2019年6月25日 12時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
片寄みゆな(プロフ) - あぁ感動泣きすぎてやばいです、、、笑 (2018年9月9日 2時) (レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - まぁさん» ありがとうございました。geneのワイワイした感じって彼らの代名詞みたいなものですよね。なので欠かせなかったです。個々の印象とも遠からずで書けたのではと勝手に思っています。次回作ももう構想があるので、近いうちに形にしていけたらまた是非読みに来て下さい (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - りなさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。 (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 完結おめでとうございます!私も玲於君が大好きなので、更新を楽しみに読ませていただいてました。GENEの仲良しな感じもリアルとだぶってとっても面白かったです。また是非新しいお話もお待ちしてます! (2018年7月3日 10時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mamario | 作成日時:2018年6月12日 18時