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笑い声 ページ2

夜になると、降り続いた雨が上がる。


ロスを飛び出してきたAが病院に駆け込んで来た時には、ロビーはシンと静まっていた。

人ひとりいない病院をキョロキョロ見回す。


聞く人もいなくて目に飛び込んだのは救急の二文字。

キュッと靴音を立てて走るA。


煌々と明かり灯る扉の前まで来ると、看護師が出て来た。


「あのっ!!」


ボサボサの髪のまま、血相を変えて掴みかかってくるAに怯えた顔。


※看「な…何ですか…?」

「玲於!あ…佐野玲於くんどこですかっ!?」


その名前でフッと緩む顔。


※看「佐野くんの彼女?」

「えっ。」

※看「こっちよ。付いてきて。」


少しも深刻そうじゃない。

むしろ軽いノリの看護師に連れられてやって来たICU。


※医「若いって素晴らしいね。1日で目を覚ますとは。」

HT「センセイもまだまだ。」

※医「お、そうかい?嬉しいこと言うねー。」


大した会話もしてないのに起こる笑い。

起こされたベッドに寄りかかっていた玲於。

つられて笑えば傷が痛む。


RO「笑わせんじゃねーよ…。痛てーだろーが…。」

RY「ごめんごめん。」


白衣のポケットに手を突っ込む医者。


※医「身体を鍛えておいたことが幸いしたね。ダンスやってるんだって?」

RO「はい。夏に、バトルあるんすよ。」


かすれ声で、吐き出す精一杯。


※医「無理は禁物だね。出血は相当だったんだ。今こうして笑えるのは奇跡だよ。」

RO「奇跡って…。」


大袈裟な表現に苦笑いする。


※医「死んでてもおかしくなかった。だから、明日は覚悟してくれ?」

MD「明日?何かあるんですか?」

※医「朝から晩まで検査づくしだ。」

RO「えー…。」

※医「えーじゃない。バトルしたいんだろ?」

RO「…はい。」


ガクッと肩を落とす玲於にまた起こる笑い。


そこへ。


※看「佐野くーん。嬉しいお客様よ。」


そう言いながらやって来た看護師。

一斉に振り返る視線。


HT「A!!やっぱり来てくれたんだね!」


真っ先に駆け寄る隼。


「は…隼くん…。これは…?」


暗い雰囲気はどこにもない。


HT「今朝目覚めたんだ!奇跡だって!」


隼がスッと身体を良ければ、真正面にこちらをジッと見つめる玲於の姿。


HT「絶対来てくれると思ってた。」


そう言いながら小さな背を軽く押した。

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設定タグ:GENERATIONS , 佐野玲於 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
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しをちゃ(プロフ) - 久々読み返させていただいてただただ泣きました!ほんと素敵なお話でした! (2019年6月25日 12時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
片寄みゆな(プロフ) - あぁ感動泣きすぎてやばいです、、、笑 (2018年9月9日 2時) (レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - まぁさん» ありがとうございました。geneのワイワイした感じって彼らの代名詞みたいなものですよね。なので欠かせなかったです。個々の印象とも遠からずで書けたのではと勝手に思っています。次回作ももう構想があるので、近いうちに形にしていけたらまた是非読みに来て下さい (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - りなさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。 (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 完結おめでとうございます!私も玲於君が大好きなので、更新を楽しみに読ませていただいてました。GENEの仲良しな感じもリアルとだぶってとっても面白かったです。また是非新しいお話もお待ちしてます! (2018年7月3日 10時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mamario | 作成日時:2018年6月12日 18時

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