検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:59,217 hit

呼ぶ声 ページ1

翌朝。

日本は冷たい雨が地面を叩いていた。

静かなロビーの椅子で肩を寄せあって眠る顔ぶれ。


泣きつかれた隼は、その手にしっかりとリングを握りしめていた。


疲れ切った顔の母親。

布団から少しだけ覗く、玲於の指先。

微かに揺れるのも気付かないまま、抜け殻のように、肩を落としていた。


どこからか聞こえてくる救急車のサイレン。

ハッとして目を開く隼。


涼太の長い腕から、ガバッと立ち上がる。


RY「…ん?隼…?どうした…?」


振動で起きた涼太。

寝ぼけた顔で持たれていた椅子から身体を起き上がらせた。


HT「玲於…。」

RY「え…?」

HT「玲於!」


ICUに向かって走り出した隼。

隼の声に驚いて、目を覚ます面々。


RY「隼!?」


涼太の大きな声が頭まで起こした。


RU「な…なんや…?」

MD「どしたの…?」


立ち上がって隼の後を追いかける涼太を、連鎖反応のように追いかけた。


さっきの救急車だろうか。

慌ただしいICUの扉の前。

中に飛び込んでいく隼は、壁にへばりついた。


※医「佐野くーん!分かるー!?」


大声で玲於を呼ぶ医者と、集まってくる看護師。


※玲母「玲於!!」

※看「お母さん、大丈夫ですからね。」


取り乱した玲於の母親を、看護師が引き止めていた。


RU「何があったんや…。」


状況の飲み込めないみんなは、立ち尽くす事しか出来ない。

ICUから出てくる看護師。


RY「あのっ!何かあったんですか!?」


すかさず腕を掴んで引き止める涼太。


※看「指先が反応していて、目を覚ますかも知れませんよ。」


その言葉の意味も飲み込めないまま。

反射的に向いた顔が玲於を見つめる。


HT「玲於!」


隼の呼ぶ声が聞こえるのか。

反応するように震える指先が見え隠れした。


MD「玲於!頑張れ!」

RY「玲於!」


思わず声を上げてしまう。


呼んでる…

俺を…



隼…

涼太くん…

メンさん…


帰んなきゃ…

みんなのとこに…

帰んなきゃ…


"玲於…"


この声…


"大好き…だよ…"


どっかで…


揺れる瞼。

ゆっくりと開いていく。


より一層慌ただしくなるICU。

誰の声か、分からないくらい。

あちこちから玲於を呼ぶ声がしていた。


ここ…

どこ…?

俺…

なんで…


※医「佐野くん、自分が誰だか分かる?」


そう問われて、玲於の顎が小さくて 頷く。

それを見て隼は壁伝いに泣き崩れた。

笑い声→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
210人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 佐野玲於 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しをちゃ(プロフ) - 久々読み返させていただいてただただ泣きました!ほんと素敵なお話でした! (2019年6月25日 12時) (レス) id: 2f52667945 (このIDを非表示/違反報告)
片寄みゆな(プロフ) - あぁ感動泣きすぎてやばいです、、、笑 (2018年9月9日 2時) (レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - まぁさん» ありがとうございました。geneのワイワイした感じって彼らの代名詞みたいなものですよね。なので欠かせなかったです。個々の印象とも遠からずで書けたのではと勝手に思っています。次回作ももう構想があるので、近いうちに形にしていけたらまた是非読みに来て下さい (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - りなさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。楽しんでいただけたのなら嬉しいです。 (2018年7月3日 23時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 完結おめでとうございます!私も玲於君が大好きなので、更新を楽しみに読ませていただいてました。GENEの仲良しな感じもリアルとだぶってとっても面白かったです。また是非新しいお話もお待ちしてます! (2018年7月3日 10時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mamario | 作成日時:2018年6月12日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。