突き当たりの扉 ページ30
会話もなく連れてこられたのは真っ白な建物。
人が行き交うロビーを抜けてエスカレーターで2階へ上がる。
すれ違う白衣が、病院だと教えていた。
「あの…花子さん…？」
背中から声をかけても、花子は黙って先を歩く。
迷路のように角をいくつか曲がれば、いつの間にか静寂だけ。
最後の角を曲がった瞬間。
Aの足がピタッと止まった。
突き当たりに一つしかない扉。
その両脇に置かれた椅子には見なれた顔ぶれがジャージ姿で座っていた。
キュッと靴が床を鳴らせば向けられる視線。
RY「…Aちゃん。」
涼太の声に反応して立ち上がったのは隼。
「…みんな。何…してるの…？」
Aから外れていく視線が俯いていく。
花子は立ち止まってしまったAの腕を再び引いた。
近づくと自動で開く扉が口を開ける。
HK「行って…。」
「え…。」
HK「行ってあげて…。」
状況の把握出来ないAは顔を歪める。
何…？
この先に何があるの…？
どうしてみんな…
そんな悲しそうな顔するの…？
一同をグルッと見回してハッとした。
玲於くん…
輪の中にない玲於の姿。
全員まとめて病院おくり…
同級生の言葉が頭を過ぎる。
そんな…
なんかあった…ってこと…？
玲於くんに…
一気に早くなる鼓動。
息苦しくて倒れてしまいそうなほど。
それでも。
前を向くA。
口を開けて待っているその先の光景が想像出来ないまま。
自分で自分の手を握りしめて、踏み出す一歩。
Aを飲み込むと音を立てて扉が閉まる。
RY「花ちゃん…どうしてAちゃんを…。」
HK「遅かれ早かれ…知ることになるでしょ…。」
RY「そうだけど…。」
複雑そうな顔の涼太。
花子はAを飲み込んだ扉を見つめる。
HK「あの子の声なら…。」
きっと…
RU「どやった…？学校は…？」
花子の視線が落ちる。
RU「…そーか…。」
HK「ごめん…。」
RU「何で謝んねん。花子のせいちゃうわ。」
見せる笑いが余計に胸を締め付けた。
小さく震える肩。
涼太は細い身体をそっと抱き寄せる。
RY「花ちゃん…。大丈夫だよ…。」
制服にしがみついて静かに泣いてしまう花子。
誰かがつくため息が空気を重たくする。
壁に寄りかかったり、膝を抱えたり。
これからAが目にする光景が、見えるような気がしていた。
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片寄みゆな(プロフ) - 青色が裕太くんで、水色がりゅうとくんじゃないんですか？ (2018年9月8日 20時) (
レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - ゆららさん» ありがとうございます。平日は仕事なので少なめですが休日は多めにと心がけてますので最後までお付き合いくださいませ。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ほんとに面白いです！！！更新待ってます！！ (2018年5月7日 1時) (レス) id: 2a1bcd5b7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年5月5日 10時
