悲しい背中 ページ16
数日後。
食堂から出て来た壱馬。
パタパタと追いかけてくる足音。
MK「壱馬先輩！」
可愛らしい声に呼び止められて振り返る。
KZ「あ…マドカちゃん。」
バツの悪そうな顔。
KZ「この間は…その…ごめんね…。」
最後まで聞かずに壱馬の制服を引っ張るマドカ。
MK「そんな事いいから、ちょっと来て下さい。」
KZ「えっ…あっ…ちょっ…。」
お昼時で人気の少ない昇降口まで引っ張って来た。
KZ「どっ、どうしたの？」
パッと手を離して壱馬に向き直る。
MK「あの人…。」
KZ「え？」
MK「楽しそうに歩いてた…。」
KZ「なんの話…？」
MK「脱獄した人…。」
KZ「Aの事…？」
MK「この間一緒にいた人と、楽しそうに歩いてた…。」
ピクンと反応させる眉。
それでも装う平常心。
KZ「そ…そう…。」
MK「それだけ…？」
KZ「それだけも何も…言っただろ…？ただの幼馴染だって…。だいたい…どうして楽しそうに歩いてたなんて…マドカちゃんが知ってるの…？」
小さな手をキュッと握りしめる。
MK「会いに…行ったの…。」
KZ「えっ…。」
MK「あの人が壱馬先輩をどう思ってるか聞こうと思って！」
KZ「マドカ…ちゃん…。」
MK「壱馬先輩のことなんか…気にもしてなさそうだったよ…？」
壱馬は小さなため息をついた。
MK「朝から手繋いでイチャついてたんだよ！？」
KZ「マドカちゃん…。もう…そんな事しないで…。」
MK「だって！」
KZ「いいんだよっ！！」
珍しく声を大きくした壱馬。
びっくりして肩を揺らしたマドカ。
KZ「俺は…今のままでいいんだ…。」
ただの幼馴染で…
一生「壱ちゃん」で…
いいんだよ…
それで…
Aがずっと…
俺を残してくれるなら…
それで充分なんだよ…
MK「それで…いいの…？」
マドカは…
どんなに頑張っても…
壱馬先輩に…
好きになってもらえないの…？
壱馬先輩は…
これから先…
ずっとあの人を心に残し続けるの…？
KZ「マドカちゃんのことは…好きだよ。可愛い後輩だと思ってる…。」
でも…
今の俺には…
それ以上を受け止めることはできない…
KZ「気持ちは嬉しいけど…Aとの事は…放っておいて欲しい…。」
MK「わっ…私はただっ！？」
KZ「会いに行くなんて…もうするな…。分かったね…。」
背を見せる壱馬。
この間よりずっと悲しそうに見えて、マドカはキュッと唇を噛み締めた。
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片寄みゆな(プロフ) - 青色が裕太くんで、水色がりゅうとくんじゃないんですか？ (2018年9月8日 20時) (
レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - ゆららさん» ありがとうございます。平日は仕事なので少なめですが休日は多めにと心がけてますので最後までお付き合いくださいませ。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ほんとに面白いです！！！更新待ってます！！ (2018年5月7日 1時) (レス) id: 2a1bcd5b7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年5月5日 10時
