散歩 ページ13
「待ってて。」
部屋に戻るAは扉から顔を覗かせる。
父の気配を部屋の中に感じると、足音を立てないように静かに一階へ降りた。
靴を履いて家の外へ飛び出す。
角を曲がれば立っていた玲於。
「玲於くん！」
勢いよく抱きついたAに驚く玲於。
こんな気持ちになるなんてな…
俺らしくもない…
俺らしくもないけど…
フッと顔を緩めてたくましい腕で細い身体を抱きしめる。
RO「バカ…。声がデカいんだよ…。」
嫌いじゃねーよ…
この感じ…
鼻をくすぐるコロンの匂い。
目を閉じて吸い込む。
RO「いいのか？出てきても。」
「え？」
キョトンとした顔。
RO「こんな時間に男に抱きついてたら、親父さん怒るんじゃねーの？」
「あぁ…。多分平気…。電話…してたみたいだから。」
RO「んじゃ、ちょっと付き合えよ。」
小さな手をそっと握る。
「どこ行くの？」
RO「散歩の続き。」
「玲於くん、帰ってないの？」
RO「あー…帰る途中だった気がするわ。」
「気がするって…。」
RO「亜嵐くんとこにいたからさ。」
Aの歩幅でゆっくり歩く。
二つの足音。
近くの小さな公園に入ると遊具の上に腰を下ろす。
RO「お前、親父さんと上手くやってんのか？」
「…え。」
引き寄せた膝を抱えた。
「…やってる…よ…。」
震えそうな小さな声。
RO「嘘つき。」
そう言われて意外そうな顔で玲於を見てしまった。
RO「俺、こう見えて割とカンいいんだよ。」
お前のサインくらい…
ちゃんと気づけるっつーの…
RO「ったく…意味深な顔しやがって…。気になって遊んでらんねーよ…。」
玲於くん…
私のこと…
心配して来てくれたんだ…
RO「あ、言っとくけど、心配とかしてねーからな？気になっただけだかんな？」
タイムリーなセリフに思わずクスッと笑ってしまう。
RO「何がおかしいんだよ…？」
「ううん。何でもない。」
小さな笑いが止まらないAを見て、ムッとした顔を横に背けた。
人通りのない深夜の公園。
「あんな感じじゃ…無かったんだよ…。」
ポツリと口を開いた。
優しくて…
いつも笑ってて…
海外でばかりお仕事してたけど…
私のことも…
母のことも…
いつも気にかけてくれてて…
思い出すような遠い目。
Aは小さなため息をついた。
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片寄みゆな(プロフ) - 青色が裕太くんで、水色がりゅうとくんじゃないんですか？ (2018年9月8日 20時) (
レス) id: c5f011830b (このIDを非表示/違反報告)
mamari(プロフ) - ゆららさん» ありがとうございます。平日は仕事なので少なめですが休日は多めにと心がけてますので最後までお付き合いくださいませ。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ほんとに面白いです！！！更新待ってます！！ (2018年5月7日 1時) (レス) id: 2a1bcd5b7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mamario | 作成日時：2018年5月5日 10時
