手紙 ページ50
落ち着いた住宅街。
窓から見えるのは眺めのいい景色。
テーブルの上の兎のマスコット。
その横に置かれた小さな箱。
中途半端に折りたたまれた紙が、フワッとテーブルから落ちた。
片付いた部屋のクローゼット。
何も無くなってガランとした、空間の前で立ち尽くす玲於。
臣さん…
私は…
臣さんが大好きです…
臣さんがいなかったら…
この世でたった一人になってしまった事を…
受け止めることが出来なかった…
感謝しています…
心から…
臣さんに出会えて良かったと…
思っています…
でも…
RO「バカ…。それを口にしろよ…。お前は…言いたい事…言わなさすぎだ…。」
カタンとクローゼットを閉めると、手をついて頭をもたげる。
お嫁には行けません…
何度も考えました…
これ以上幸せなことは無いって…
そう思えるのに…
目をギュッと閉じた。
ごめんなさい…
臣さんは何も悪くない…
これは…
私の問題です…
いつだって…
臣さんに甘えてばかりだった…
お姉ちゃんを言い訳にして…
でもそれじゃダメなんだって…
気付いたから…
RO「俺にくらい…話して欲しかった…。」
私が…
私の足で歩いていくために…
誰のせいにも…
何かを言い訳に出来ないところで…
やってみます…
傍にある整ったベッド。
そっと指先で撫でると、膝をついて頭を乗せた。
まだ残るAの匂い。
勝手に決めてごめんなさい…
突然いなくなってごめんなさい…
私を…
好きだと言ってくれた人たちが…
私を…
大切に思ってくれた人たちが…
臣さんが…
どうか幸せでありますように…
フワフワの布団に顔を埋める。
段々と大きくなってくる。
肩の震え。
その後に聞こえる。
鼻をすする音。
玲於…
呼ばれた気がしてハッと顔を上げる。
振り返ってみても誰もいない。
頬を手の甲で拭うと立ち上がる。
リビングへ出て窓のカーテンを開け放つと、光が射し込んだ。
どこまでも広がる景色を眺める。
シンと静まる部屋で、しばらく景色を眺めた後。
クルッと身体を翻すと、うさぎのマスコットだけをテーブルから取る。
扉の前て振り返る部屋。
なぁ…
聞いてもいいか…？
お前は…
俺をどう思ってた…？
自分の意思で…
ここから去ったお前の心に…
俺はいるか…？
フッと口元を緩めると、静かに部屋を出て行った。
俺はまだ…
お前が好きだ…
だから…
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←袋の中身
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 577人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りなg(プロフ) - このお話はもう続かないですか？ (2021年3月13日 19時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
臣ちゃん妻 - 始めから読ませてもらっているのですが、いずれは誰かと落ち着くのでしょうか？ (2019年8月18日 20時) (レス) id: fbb00be1f3 (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - その気持ちをちゃんと皆に伝えられたら良かったんだけどね…。それを聞いた臣さん壱馬はどうするんだろう？切なすぎます(>_<) (2019年8月15日 10時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 究極に切ない〜(´；ω；｀)！！！！更新毎日待ち遠しいです(´･_･`)！！れ (2019年8月8日 19時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - 直人さん玲於には伝えないのかな…。皆感情がおかしくなっちゃう(>_<)玲於彼女に会いに行かないかな…。 (2019年8月8日 18時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年7月15日 14時
