みんな幸せに ページ34
タクシーを飛ばしてやって来たAのマンション。
いつもと変わらない。
静かなロビー。
足早に抜けて部屋の前まで。
KZ「何が台湾だよ(笑)」
鼻を鳴らしながら持ち上げた手。
指先をインターホンにかけた。
これを押せば…
この扉は開かれて…
Aの匂いが…
俺を抱きしめる…
押せばいい…
ただ…
押せばいい…
その心とは裏腹に、押せないインターホン。
心臓の鼓動が、響きそうなくらいだった。
でももし…
あいつの言ってる事が本当だったら…？
本当にAは…
台湾に行ったんだとしたら…
インターホンにかけた指先をキュッと握った。
カチャリ…
小さな扉を開く音。
珍しく隣の部屋の扉が開く。
ゴミ袋を下げた、年配の女性。
思わず目が合ってしまって、軽く会釈した。
※「Aちゃんに…何かご用？」
KZ「えっ…あ…はい…。」
話しかけられると思わなくて驚いた。
※「もしかして…Aちゃんのボーイフレンド…？」
KZ「あー…まぁ…。」
※「もう業者さん来たわよ？」
KZ「え…業者…？」
※「そう。引越し業者さん。ダンボールをいくつも運び出してたみたいだけど。」
壱馬は思わず年配の女性に駆け寄った。
KZ「なんか…その時なんか言ってませんでしたかっ！？」
※「く…詳しいことは何も…。ただ挨拶には来てくれたわよ。有名なお店のケーキ持って。」
ホントに…
行ったのか…？
※「ここ、彼氏さんのお部屋なんでしょ？大きな荷物は後で運び出すと思うって。あなたのこと？」
俺のせいで…？
俺がAを追い詰めた…？
だからなのか…？
※「それにしても、あなたもイケメンね(笑)」
クスッと笑う。
※「私てっきり、よく出入りしてたあの、ほら、なんて言ったかしら。テレビでよく見かける、歌うたってるスラッとした男の方。」
KZ「登坂……広臣……？」
※「そう！その方！あの人が彼氏なんだと思ってたわ(笑)」
楽しそうに一人話す。
※「Aちゃんも美人だものね。男の子が放っておかないのも分かるわ(笑)」
KZ「あ、あの。」
※「はい？」
KZ「他になにか言ってませんでしたか…？どこに行く、とか、誰と行く、とか。」
悩む素振り。
※「さぁ…。そういう事は何も。あ、ただ、これでみんな幸せになれる…とかなんとか…。」
これで…
みんな幸せに…？
静かに握りしめた拳。
年配女性の言葉は右から左に流れていた。
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りなg(プロフ) - このお話はもう続かないですか？ (2021年3月13日 19時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
臣ちゃん妻 - 始めから読ませてもらっているのですが、いずれは誰かと落ち着くのでしょうか？ (2019年8月18日 20時) (レス) id: fbb00be1f3 (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - その気持ちをちゃんと皆に伝えられたら良かったんだけどね…。それを聞いた臣さん壱馬はどうするんだろう？切なすぎます(>_<) (2019年8月15日 10時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 究極に切ない〜(´；ω；｀)！！！！更新毎日待ち遠しいです(´･_･`)！！れ (2019年8月8日 19時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - 直人さん玲於には伝えないのかな…。皆感情がおかしくなっちゃう(>_<)玲於彼女に会いに行かないかな…。 (2019年8月8日 18時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年7月15日 14時
