背負うもの ページ33
プルルル…
鳴り出した携帯。
NA「ちょっとごめん。」
席を立つナオト。
テラスへと出た。
NA「もしもし…。」
小さな声。
「無事に…着きました。」
NA「そうか…。」
テラスから注ぐ視線。
頭を抱える臣を、みんなが慰めている構図。
NA「本当に…何も言わないままでいいのか…？」
「はい…。」
ため息がAの耳を撫でた。
「ナオトさん…。」
NA「ん……？」
「臣さんを……お願いします…。」
テラスの手すりに寄りかかって目を閉じた。
「それじゃ…。」
NA「A…。」
「……はい？」
NA「いつでも戻って来ていいんだぞ…。」
電話越しの声に緩んだ口元。
「私は…大丈夫です…。」
無理して笑ってるのが伝わる声だった。
「それじゃ…。」
プツッと切れた電話。
馬鹿…
姉妹揃って…
俺にばっか…
重たいもん背負わせやがって…
ズボンのポケットに手を突っ込むナオトは、空を見上げた。
ナオトを見ていた直己。
視線を臣に戻す。
肩を抱く健二郎。
KJ「大丈夫や…。そのうち戻ってくる…。」
OM「洋服も全部無かったんだぞ！？出てったんだ…。俺に何も言わず！どこへ！？」
RJ「実家に帰ったとかさ…？」
OM「もう誰も住んでないのにかっ！？」
大きな声に周囲の客たちが反応していた。
IT「少し…休みたいんだ…。」
EL「休みたい…？」
IT「美波が死んでから…気丈に振舞ってきたけど…きっと…しんどかったのかも…。」
KJ「せやな…。俺らかって…大した事、してやってへんしな…。」
OM「だからって…何も言わずに消えるなんてっ！？」
ポンと肩に乗る直己の手。
NK「イラついても仕方ない。」
OM「いなくなったんだよっ！？」
NK「どこへ行ったのか、心当たりはないの？」
OM「ある訳ない！！ゆっくり行くって言ったんだ！その時は電話も繋がってた！」
テラスから戻ってきたナオト。
伝票をつまんだ。
NA「大きな声出すなよ…。そろそろ行くぞ…。」
みんなして立ち上がる。
一番最後の臣。
OM「なんか…聞いてないの…？」
ピタッと足を止めて、少しだけ振り返るナオト。
OM「ナオトさんに…なんか話したりしてないの…？」
みんなの視線が集まる。
ごめん…
臣ちゃん…
今…
Aを連れ戻しても…
ここが幸せか分かんねぇから…
NA「………何も。」
黙ってるよ…
俺も…
迷ってるうちは…
背中に視線を感じながら、頭でそう呟いた。
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りなg(プロフ) - このお話はもう続かないですか？ (2021年3月13日 19時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
臣ちゃん妻 - 始めから読ませてもらっているのですが、いずれは誰かと落ち着くのでしょうか？ (2019年8月18日 20時) (レス) id: fbb00be1f3 (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - その気持ちをちゃんと皆に伝えられたら良かったんだけどね…。それを聞いた臣さん壱馬はどうするんだろう？切なすぎます(>_<) (2019年8月15日 10時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 究極に切ない〜(´；ω；｀)！！！！更新毎日待ち遠しいです(´･_･`)！！れ (2019年8月8日 19時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - 直人さん玲於には伝えないのかな…。皆感情がおかしくなっちゃう(>_<)玲於彼女に会いに行かないかな…。 (2019年8月8日 18時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年7月15日 14時
