返事 ページ24
部屋に戻って来たA。
カバンをテーブルに置いてソファに腰を落とした。
はぁ…
重たいため息。
膝を抱えようと足を引き寄せる。
テレビの前の写真立てに目が止まった。
ゆっくり立ち上がって近付くと手に取る。
美波が生きていた時の最後の写真。
「お姉ちゃん……。」
呟いた後。
ふと気付いて部屋を見回した。
そう言えば…
壁際の棚には、臣や、三代目と撮った写真。
美波や、母や父の笑顔。
玲於も…
壱馬くんも…
この部屋にはいない…
何度も会ってるのに、一度も写真を撮ったことが無かった。
二人は…
私と本気で向き合ってくれてるのに…
私は…
いつだって言い訳にしてる…
お姉ちゃんを…
臣さんのことも…
ストンとその場にしゃがみこんだ。
どうすればいいの…？
胸に抱える写真。
お姉ちゃん…
私は…
どうすればいいの…？
どうすれば…
お姉ちゃんは許してくれる…？
もう…
分かんないよ…
何が正しくて…
何が間違ってるのか…
「お願い…。教えて……お姉ちゃん…。」
膝に顔を埋める。
小さな肩を震わせた。
誰も何も答えてくれない静かな部屋。
Aが鼻をすする音だけ。
ハッとして顔を上げる。
頭の中が思い出してくるのは、道端で、女の子とキスする玲於の姿。
私じゃなくても…
玲於を好きな人はたくさんいる…
臣さんのように…
たくさんの人に愛されてる…
このまま…
こんな…
真っ直ぐな気持ちにさえ後ろを向いてしまう女より…
気持ちをちゃんと通わせられる人と…
幸せになるべきなんだ…
カタンと写真たてを置いて立ち上がる。
ガサゴソとカバンを探ると、取り出した携帯。
何度かいじって耳に運んだ。
プルルル…
コール音数回で聞こえてくる声。
YK「もしもし？A？どうしたの？」
少し疲れた陽子の声。
「陽子先輩…。」
YK「何かあった？そっち、行こうか？」
「いえ…大丈夫です。」
鼻をすすって顔を上げる。
「私…あの話、受けます…。」
YK「え？」
「台湾行きの話…受けます…。」
電話の向こうは驚いた顔になった。
YK「随分早い返事ね。もっと迷うと思ってた。」
「迷う必要なんか…無かったんです。」
YK「いいの…？」
「はい…。」
誰にも…
甘えない環境に…
何も…
言い訳出来ない場所に…
YK「分かった。」
私の望みは一つだけ…
もう誰も…
傷つかない未来を…
Aは静かに携帯を下ろした。
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りなg(プロフ) - このお話はもう続かないですか？ (2021年3月13日 19時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
臣ちゃん妻 - 始めから読ませてもらっているのですが、いずれは誰かと落ち着くのでしょうか？ (2019年8月18日 20時) (レス) id: fbb00be1f3 (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - その気持ちをちゃんと皆に伝えられたら良かったんだけどね…。それを聞いた臣さん壱馬はどうするんだろう？切なすぎます(>_<) (2019年8月15日 10時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 究極に切ない〜(´；ω；｀)！！！！更新毎日待ち遠しいです(´･_･`)！！れ (2019年8月8日 19時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - 直人さん玲於には伝えないのかな…。皆感情がおかしくなっちゃう(>_<)玲於彼女に会いに行かないかな…。 (2019年8月8日 18時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年7月15日 14時
