取戻す静けさ ページ42
小さな背中が手すりにぶつかる。
ゆっくり振り返って、手すりに手をかけた。
KZ「A！？」
HT「Aさんっ！！」
駆け出そうとする壱馬。
その肩にポンと手が乗る。
OM「どいて…。」
ハッとしてあげる顔。
KZ「登坂……さん…？」
扉と壱馬の隙間から、迷いなく部屋に入る。
手すりから大きく身を乗り出すAの細腕を掴むと、グイッと引っ張った。
唐突なキス。
呼吸出来ないほどしっかり重なっていた。
強ばる身体から力抜ける。
唇がそっと離れると、驚きで見開いた瞳には、臣が映っていた。
「……臣…さん？」
OM「落ちたらどうする…。」
久しぶりに聞いた気がする臣の声。
「お…姉ちゃんが……。」
震えた声。
「お姉ちゃんが……許してくれないの……。」
ポロポロこぼれる涙。
「いっぱい謝るのに……怒って……。」
クシャクシャに顔を歪ませた。
目を閉じて、ため息をつく。
お前もずっと見て来た…
罪悪感が作りあげた…
美波の亡霊…
それが怖かったから…
お前を抱いた朝は…
傍に居たくなかった…
ずるいよな…
俺は…
OM「怒ってない…。」
「……え。」
OM「大丈夫…。もう怒ってないよ…。」
涙の跡を頬に残してガクンと膝が抜ける。
そのまま意識まで落とすAを、たくましい腕がしっかりと抱き止めた。
OM「ごめんな…。A…。」
小さな声で謝ると、抱き上げる。
元通り、ベッドにAを下ろすと、ベランダへの扉を静かに閉めた。
KZ「登坂さん…。」
HT「どうして…。」
驚いてる二人を外に促すと、パタンと寝室を閉めた。
OM「お前たち、こんな時間にここで何してんの？」
HT「え、あっ！いや、あのこれはですね…。」
偶然だと言おうとした北人。
KZ「登坂さんこそ…どうしてここに…？」
壱馬が遮る。
OM「最近…ちゃんとAの顔を見てなかった気がしてさ…。」
申し訳なさそうに、口元を緩めた。
RO「戻ったんですか……？」
OM「玲於は…知ってたのか…。」
RO「あそこに…いましたから…。」
苦笑いが浮かぶ。
OM「情けないよな…。こうなったのは俺のせいなのに…。いつの間にか…美波の役までAにやらせてた…。」
キッチンに立つ臣。
OM「座れよ。コーヒーでも入れてやるから。」
そう言われるがまま。
静けさを取り戻した部屋のソファに座った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kotanon(プロフ) - 更新ありがとうございます！願いは変わらずみんなの未来にどうか明るい光が差します様に(‐人‐) (2019年7月4日 22時) (
レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ヤバい(//∇//)壱馬がカッコよすぎ(〃ω〃)もう壱馬と結ばれちゃえって思っちゃいます (2019年7月3日 17時) (レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - みなさんコメントのお礼をサボっていてすみません。有難く読ませて頂いてます！ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - かじゅま、、、最高すぎいい男すぎるたまらないです(´；ω；｀)玲於にも臣さんにも幸せになって欲しいって思うけどまだまだ終わって欲しくないって葛藤してます（笑）これからも更新楽しみにしてます！！ (2019年7月2日 20時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 一日で全部読みました！すっごく面白いです。更新待ってます(*´ω`*) (2019年6月30日 12時) (レス) id: 7a7bc6c821 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年6月17日 15時
