年下 ページ29
大半は退社して静かなロビー。
外に出ればジメッとした空気が肌をしめらせた。
台湾か…
足を止めて息を深く吐いた。
その時。
KS「Aさんっ！」
追いかけてきた加瀬。
「加瀬くん。お疲れ様。」
KS「お疲れ様です。途中まで一緒にいいっすか？」
「もちろん。」
並んで歩き出す。
夜の都会。
KS「久しぶりの仕事、どうでしたか？」
「こんなに疲れたっけってくらい疲れた(笑)」
KS「陽子先輩、Aさんがお休みの間中ずーっと、あーAいたらなーって連呼してましたよ。」
「台湾の方で空きでたっていうし、もしかしたらその影響かもね。」
ピタッと止まる、加瀬の足。
「どうしたの？」
少し先で振り返った。
KS「行くんですか…？台湾…。」
「え…。」
KS「言葉…話せるんすか…？」
「話せないよ(笑)」
KS「じゃあ…行きませんよね…？」
そう言われて視線を落とした。
「久しぶりに会社に来て思ったの…。」
一度起こったことは…
無かったことにはならない…
私を見る目は…
時間が経っても何も変わらない…
これからも…
何か起こる度に…
好奇や嫉妬や…
みんなの退屈を紛らわせる格好の餌食に…
されるんだろうなって…
KS「そんなのっ！俺が止めさせますよ！」
Aは首を横に振った。
「言葉は止まっても、心の中にあるものは変わらないわ。」
KS「だったら…行くんですか…？逃げるんですか！？」
「逃げる…？」
妙に心の隙間にハマってしまった言葉。
「そうかも…。逃げたいのかもね…。」
おかしくもないのに、クスッと笑いがもれた。
スタスタと近付いてくる足音。
それを認識した瞬間には、もう抱きしめられていた。
KS「何がおかしいんすか…。」
「えっ、あの…加瀬くん…？」
KS「行って欲しく…ありません…。」
耳元で囁くような声。
いつもよりずっと低いトーン。
「まだ…決めたわけじゃないから…。」
そっと引き離す身体。
弱々しくも微笑んで見せる。
KS「俺じゃ…ダメですか…？」
「…え？」
KS「年下だけどっ！！頼りないかもしれないけどっ！！」
俺じゃ…
Aさんを幸せに出来ませんか…？
その言葉をグッと飲み込む。
KS「俺が日本でAさんの仕事フォローしますからっ！！」
声を大きくした。
フッと緩んだ頬。
「ありがと。」
笑みを浮かべた直後。
都会の喧騒に負けそうな携帯音が、Aのカバンの中で鳴った。
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kotanon(プロフ) - 更新ありがとうございます！願いは変わらずみんなの未来にどうか明るい光が差します様に(‐人‐) (2019年7月4日 22時) (
レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ヤバい(//∇//)壱馬がカッコよすぎ(〃ω〃)もう壱馬と結ばれちゃえって思っちゃいます (2019年7月3日 17時) (レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - みなさんコメントのお礼をサボっていてすみません。有難く読ませて頂いてます！ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - かじゅま、、、最高すぎいい男すぎるたまらないです(´；ω；｀)玲於にも臣さんにも幸せになって欲しいって思うけどまだまだ終わって欲しくないって葛藤してます（笑）これからも更新楽しみにしてます！！ (2019年7月2日 20時) (レス) id: b898575e0c (このIDを非表示/違反報告)
みさ - 一日で全部読みました！すっごく面白いです。更新待ってます(*´ω`*) (2019年6月30日 12時) (レス) id: 7a7bc6c821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年6月17日 15時
