膨らむ想い ページ8
急ブレーキで止まるタクシー。
飛び降りると駆け込んだマンション。
数時間前に出てきた扉の前で押すインターホン。
ピンポーン…
ピンポン！ピンポン！
何度押しても応答がなくて、扉を叩く。
OM「A。いないの？A！」
ノブを捻ってみても鍵がかかっていた。
こんな時間に…
どこ行ったんだよ…
探そうにも当てはない。
携帯を鳴らしてみても、たどり着くのは留守番電話。
OM「なんで出ないんだよ…。」
どうしたもんかと、やきもきする。
と、その時。
ふと頭をよぎった。
OM「まさか…。」
あいつ…
コインランドリー行ったんじゃ…
何となくそんな気がした。
OM「この辺どこにあんだよ…。」
コインランドリーの場所なんか知らない。
それでも、自然と足が動き出していた。
我慢してるなんて…
理解してるなんて…
考えてやらなかった…
一緒にいてラクだったのは…
執着がないからだと思ってたんだ…
ブラウスにこだわったんじゃなくて…
俺が買った…
ってことにこだわってたんだ…
その事に…
俺は気付こうとしなかった…
OM「コインランドリーなんて…どこにあるか分かんねぇよ…。」
乱した呼吸。
肩を上下させながら、路地で足を止める。
辺りをキョロキョロ見回して、どっちに行くべきか迷っていた。
ザッザッ…
サンダルを引きずる音にハッとする。
髪を無造作にまとめて、ルームウェアにサンダルを突っかけた姿。
腕にブラウスを抱きしめていた。
OM「A！」
聞きなれた声に顔を上げると、次の瞬間には抱きしめられていた。
「臣……さん…？」
OM「こんな時間にそんな格好で出かけやがって！とこ行ってた！？」
「あ……ブラウスを洗濯に……。」
腕に抱えていたブラウスを剥ぎ取った。
OM「こんなもん捨ててっ！」
「ダメッ！！」
勢いよく地面に叩きつけようとするのを、細腕が止める。
「大事なものなの！」
OM「たかがブラウスだろ！？」
「臣さんが私にくれた初めての贈り物なのっ！」
ギュッとブラウスを抱きしめた。
「だから…捨てない…。」
お前は…
再び強く抱きしめた身体。
OM「ブラウスなんか…何枚でも…何十枚でも買ってやる……。買ってやるから…。」
膨らんでく…
この想い…
OM「俺に心配かけんな……。」
あごをクイッと持ち上げられると、火照ったキスが重なった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 497人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ままりぉ。(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます！毎日の楽しみが増えてくれたら嬉しいな。今度こそ完結目指して頑張ります！ (2019年5月3日 8時) (
レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - りなgさん» なんか思った以上にドロドロしてしまいました（笑）でも気になりますね！ (2019年5月3日 8時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！待ってます！ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 48eab865b8 (このIDを非表示/違反報告)
りなg(プロフ) - もどかし過ぎるー！！NAOTOさんの言葉の意味は…？理由があって付き合ってた…。ますます気になります(>_<) (2019年5月1日 23時) (レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
ままりぉ。(プロフ) - りなgさん» いつもコメントくれてありがとう。前のも終わってないのに新しいものを書いてしまいました。先はまだまだ長いですが、気長にお付き合いください。 (2019年4月30日 15時) (レス) id: 93d184a48a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ままりぉ。 | 作成日時：2019年4月20日 9時
