呼び出し ページ10
4時限目の数学の授業中。
黒板に数式を書き連ねて、パンパンと指先についたチョークを叩く。
※教「じゃあ…次の問題を。」
教師は教卓から教室内を見渡した。
※教「佐野。」
閉じかけていた瞼。
※教「佐野ー。」
頭がカクンと揺れている玲於。
後ろの席の隼は、前の椅子をつま先で小突いた。
ハッとして戻した頭。
※教「佐野。昼寝にはまだ早いぞ。早くやれ。」
寝ぼけた目のまま、隼のノートを掴んた。
HT「あ、ちょ…。」
ガタガタ椅子の音を立てて立ち上がると、靴下の状態で教卓に上がった。
※教「おい。佐野。」
RO「なんすか？」
※教「上履きはどうした？」
RO「あー、朝来たら無かったんすよねー。」
※教「無かった？どう言うことだ？」
RO「俺のファンが持ってったんじゃないっすか？」
隼のノートに書かれた数式を丸写す。
カランとチョークを放った。
※教「なんだ。意外と聞いてたんだな。」
自席に戻って、戻した隼のノート。
RO「サンキュ。」
HT「高いよ。」
RO「昼飯で勘弁しろよ。」
小声で交わした会話。
終業のチャイムが鳴ると。
※教「佐野。ちょっと職員室来なさい。」
RO「は？」
振り返った顔がムッとしていた。
HT「ご愁傷様。」
RO「なんなんだよ…。」
そこへやって来る。
AL「玲於、何やらかしたの？」
RO「なんもやらかしてねーよ…。」
HT「先に行って席取ってるから。」
RO「俺の分の飯も買っといて。」
そう言って、ズボンのポケットから財布を引っ張り出すと隼の手に握らせた。
靴下ですり抜ける机の間。
通りすがり。
Aの頭をポンと叩く。
RO「隼たちと一緒に食堂行け。」
「あっ、あの！」
RO「どした？」
「上履きのこと私が先生に話します。」
RO「なんて？」
「え…。なんてって…。」
RO「変な気使わなくていいから、昼飯ちゃんと食っとけよ。」
フンと鼻を鳴らして出て行く教室。
入れ替わるように、大きな声。
RU「おーい。昼飯行くでー！」
RY「お腹空いたよぉ。」
MD「玲於は？」
HT「職員室。」
YT「何したん？」
クスッと笑う。
AL「お、今日全員揃ってんじゃん。」
MD「玲於の戻りは食堂で待とう。」
涼太はAを振り返った。
RY「Aちゃん。一緒に行こ。」
「はい。あ…でも…。」
HT「玲於が行けって言ってたから行くの。」
そう言って隼は細い腕を軽く引っ張った。
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作者名：mamario | 作成日時：2018年3月31日 7時
