鼓動 ページ35
お昼休み。
「はい。お待たせ。」
玲於の前にカタンとトレーを置いた。
RO「うっは。うまそー！」
玲於の隣に腰を下ろすA。
幸せそうな顔でカレーライスを頬張る玲於。
RY「待つって事を覚えなよ。」
RO「バカ。待ったらチーズが固まんだろーが。」
次から次へとトレーを持ってやってくる。
まるで決まってるかのように、それぞれの席へ座っていく。
RU「Aがおらん時は通夜みたいやったくせに。」
RO「は？どこがだよ。」
YT「素直じゃないなー。」
RO「うるせー。いても居なくても変わんねーよ。」
素っ気ない言葉を吐くのに、高いテンション。
みんなの呆れた顔。
苦笑いのAに、隣に座っていた亜嵐は顔を寄せた。
AL「ホントはメッチャ嬉しいんだよ。」
小さな声で囁いた。
その声に反応して亜嵐を振り返る。
眉を上下させて笑って見せた。
好きになっちゃったかも…
ペロッと皿の中身を平らげて満足そうな玲於。
玲於くんが…
私を…？
小さな疑問符。
頭に浮かべば、勝手に心臓がドキドキを始める。
ジッと見つめてしまう横顔。
RO「なんだよ？」
「えっ、あ、凄い早さで食べたなぁ、と思って。」
RO「超美味かった！」
私は…
思い出してしまうのは、拒んでしまった壱馬のキス。
RO「おい。」
「なっ…何？」
グッと寄った顔。
RO「大丈夫か？お前？」
「え？」
RO「顔赤いぞ？熱あんじゃね？」
一瞬で視界に入り込むと、額と額がくっ付く。
RU「なんや？風邪か？」
MD「ここんとこ暖かかったり寒かったりしてるもんね。」
YT「無理せんときや。」
周囲の声は右から左に流れてしまう。
近すぎる玲於の顔。
壱馬とは違うコロンの匂い。
鼻をくすぐる。
RO「別に熱はねーか。」
ドキドキ…
するの…
玲於くんが近すぎて…
気付けばいつも…
すぐ傍にいる…
気付けばいつも…
鼓動が早い…
RO「保健室付いてってやろうか？」
HT「サボりたいだけじゃん。」
RO「んなことねーよ。心配してやってんの。」
YT「心配ねぇ。」
MD「心配してるフリでしょ？」
RO「うるっせー！」
お願い…
静まって…
自分の手をギュッと握り合わせた。
みんなに…
聞こえちゃうから…
この…
ドキドキ…
RU「ホンマに顔赤いで？」
RY「大丈夫？Aちゃん？」
口を開けば心臓が飛び出してしまいそうで、Aは唇をキュッと噛んだ。
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作者名：mamario | 作成日時：2018年3月31日 7時
