痛む胸 ページ27
それから数日。
RU「最近どーしたんや？A、おれへんやん。」
混雑する食堂。
向かい合う玲於に話しかける。
RY「来てるよね？」
HT「来てるけど、気付けばいないんだよねぇ…。」
YT「喧嘩したんちゃうの？」
スプーンを食器に放れば、カランと音が立つ。
不機嫌そうな顔で、食堂の外に視線を投げる玲於。
HT「まぁ…こっちも最近こんなんなのよ…。」
会話に入ろうともしない玲於を見て、隼は肩をすくめた。
なんでこんなに…
イラつくんだろ…
別に…
あいつがいようがいまいが…
何も変わらないのに…
RU「玲於、A飯食っとんのか？」
ガタッと無造作に引いた椅子。
RO「知るか。俺に聞くんじゃねーよ。」
トレーを持ち上げると、輪から離れて行く。
RY「超ご機嫌斜めだね。」
苦笑いする涼太。
ズポンのポケットに手を突っ込んで食堂を出て行く背中。
隼は心配そうな顔で見ていた。
お昼の校内放送。
屋上で聞いていたA。
ブルブル…と手にしていた携帯が震える。
持ち上げて落とす視線。
KZ(なんで返事して来ない…？)
ギュッと握りしめる。
KZ(見てるんだろ…？)
KZ(なんかあったのか…？)
息苦しささえ覚える鼓動。
返事をしないと決めてから、毎日途切れない壱馬からのメッセージ。
RY「こんな所にいた。」
穏やかな声に振り返る。
優しい笑みを浮かべながら近づいてくるのは涼太。
RY「最近、お昼にいないからみんな心配してるよ？」
「…ごめん…なさい。」
RY「謝る事ないよ。でも…。」
大きな手がポンと頭の上に乗る。
RY「なんでそんな泣きそうな顔してるのか、聞いてもいいかな？」
「泣きそうな顔…なんて。」
RY「玲於となんかあった？」
そう問われて首を横に振る。
Aからの言葉を待っていた涼太。
「幼馴染が…私のこと心配してて…。」
ポツリとこぼした。
RY「幼馴染？あ、もしかしてこの間騒動があった時にいた監獄の制服の？」
コクリと頷いた。
「次の日…心配で様子を見に行ったの…。あの学校、凄い厳しくて…すぐ退学にするから…。」
RY「まさか…退学になったの…？」
「ううん…。元気そうだった…。」
RY「そっか。良かったね。」
壱馬先輩！
耳に残る可愛らしい元気な声が蘇る。
私の心配なんかしないで…
壱ちゃんの幸せを手に入れて欲しいのに…
急に遠くなっちゃったみたいで…
勝手に痛むこの胸が…
イヤなだけ…
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作者名：mamario | 作成日時：2018年3月31日 7時
