魔法少女のいる生活【北信介】 (ページ17)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:7,206 hit

帰り道ページ17

花火も見終わって帰り道

侑先輩と治先輩と別れてから、暗い道を北先輩と二人で歩く

穴場からずっと、手をつないだまま

嬉しくて嬉しくてつい、手をブンブン振ってしまう

ああ、こういうところが子どもっぽくて先輩に釣り合わないんだろうけど…！

「A、金魚、あんま揺らさんようにな」

『はい！』

先輩に言われて気づき、すぐに手を止める

でも、先輩とつないだ左手はまだ振ってしまう

『あっ先輩、途中コンビニ寄りましょ！』

先輩はしばらく考え、首をかしげながら喋る

「コンビニには、金魚のエサはないと思うで？」

『えっ！？コンビニなのに！？』

またじと…とした目で見られる

でもそんな先輩も好き…！

「ホームセンター…行こか」

『はいっ！』

あ、けど。

と言って北先輩は立ち止まる

「この時間やと閉まっとるかもしれへんなあ」

ぴちゃん

絶望に暮れた

たぶん、初めて私と金魚の心情がマッチした瞬間だったろう

『そんな…』

「まぁたぶん、そんなすぐエサやらんでも大丈夫やで」

『へ…！』

「水草とかいらんの？」

『あっ…じゃ先輩、川寄って帰りましょう！』

「ええけど…(こんなお誘い初めてやな)」

また先輩にじとっと見られた気がする

なんで…？

「なぁ、そろそろ名前で呼んでくれへんかなあ」

『えっ？』

ぐるぐると渦巻いてた私の思考にドカーンと大きな岩が降ってきた

『えっ？』

「なんで2回言ったん」

『いや、だって…えっ？』

「言い過ぎや。ほら、物は試しやろ、言うてみ」

心做しかイキイキしている

『…し、しんっ…信介くん…』

「ふふ、ええな」

信介くんはニカッと笑って頭を撫でてくれた