魔法少女のいる生活【北信介】 (ページ16)

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花火ページ16

侑先輩の言っていた穴場に着いた

かき氷は、途中で食べ終わったからゴミ箱に捨ててきた

「ここ、階段で高いとこ登れるし見やすいんすよ。人少ないし」

侑先輩は得意げに笑う

…ただ、足場はあまりよくないみたい

「A、登れるか？」

『あ、はい！』

両手でバランスを取りながら北先輩に着いていく

右手に持った金魚が揺れる

だめだ、あんま揺らさないようにしないと…

『あ、あれっ？』

体が右側に傾く

え、もしかして落ちる…？

ぎゅっと目をつむった

「なにしてんねん。危ないで」

ぱっと左手首を掴まれた感触と

正面から受ける風

そしてなにかにぶつかる

恐る恐る目を開けてみると、その"なにか"は北先輩だった

「落ちたらただで済まんからな」

今日一番鋭い目だ

『すみませんでした…』

「ん、手つなぐか？」

『えっ…？』

「歩きにくいんやろ」

『ありがとうございます…』

ずっと、お世話になりっぱなしだな

北先輩に引き上げてもらいながらなんとか上まで登りきった

やった、これで花火が見れる！

ﾄﾞｰﾝ!!

『わぁ！始まった！』

「ちょうどよかったな」

気をつかってくれてるのか、宮先輩ご兄弟は少し離れているようだ

『わー！きれー！！』

先ほどあれだけ心配かけたのも忘れてテンションがぶち上がる

『先輩見てー！』

ばちんっと、流れ星みたいに光を飛ばす

「…今の、Aがやったんやろ？みんな流れ星やと思ったんちゃう？」

『…そうですね！見た人が願いを叶えるための、一歩を踏み出す勇気になればいいかなって』

「ええな、それ」

北先輩はケラケラと笑っている

「あ、言うタイミング逃してもうたけど…その浴衣、(ﾄﾞｰﾝ!!!!!)」

一際大きな花火の音

『え…？』

聞こえなかったし、先輩の顔も逆光で見えなかった

『先輩、今なんて…』

ﾄﾞｰﾝﾄﾞｰﾝ!!
ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞｰﾝ!!

「お、フィナーレかな」

『え、先輩！』

でもきっと、褒めてくれたんだろうな

…

可愛ええよ

似合うとる

どっち言うか悩んで、結局なんも言われへんかったけど…

まぁ、伝わったっぽいしええか

今もまだ、顔を真っ赤にしてるAを見つめる