雪の物語〜Snow Man〜

33.私のヒーロー ページ39

阿部side

＿あべちゃんは俺が守るから！

＿だいすけくん、ありがとう。

＿約束だよ？



久しぶりに昔の夢を見た。

あれは幼稚園生だった時のこと。

遠足だーって言って山に行った。

でも、私はみんなとはぐれちゃったんだ。

気づいたら一人で泣いていた。

無我夢中で誰かに助けを求めて。

その時だった。

＿いた！あべちゃん！

＿だいすけくん、？

どこからともなくやってきた彼。

その姿はまるでヒーローだった。

小さい体で泥だらけになって。

でも私にはすごくかっこよくみえた。



それから佐久間を意識しだした。

小学生になっても中学生になっても今も。

そんなこと、佐久間は知らないよね？

鈍感な幼なじみは今日も私を助けてくれる。



『阿部と佐久間ってさなんでそんなに仲良いの？』

よく聞かれるこの質問。

私たちは決まってこう答える。

桃「だって俺たちはどこにいても切れない絆があるからさ！ね、あべちゃん！」

緑「そう笑たとえ北半球と南半球でもね笑」

桃「ん？何が違うの？」


とんちんかんな佐久間は未だに北半球と南半球の違いがわからないらしい。
↑え、馬鹿すぎない？Byラウール

それでもいつも私のことを気にしてくれている。

この間だって相田さんからの告白を断って時も、上手く言葉が出なくて。

そんなとき通りすがりのように助けてくれたんだ。


＿あべちゃん、深呼吸。

佐久間の言葉は誰よりも落ち着く。

だからはっきりと断れたんだ。

『相田さんにはもっと素敵な人がいるはずです。』って。

断ったけど心が痛くなるんだね。




佐久間。

私はあなたの特別になれますか？

ずっとずっと隣にいたい。

いつものように助けてくれますか？

共通点ゼロでも希望はありますか？



この間買ったイヤリング。

学校祭で付けようね。

知ってた？

イヤリングってさ片耳でもオシャレだよね。

左耳につけるのは【守る人】。

右耳につけるのは【守られる人】。

佐久間は知らないよね？

でも、学校祭では左耳に付けてよね。

私が右耳に付けるから。



この特別な想い。

名前をつけるならなんだろうね。

私にとってのヒーロー。




この感情はきっと







【恋】だよね。

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