好きの詰め合わせ

作り笑い(高橋一生) ページ36

今日はﾄﾞﾗﾏの撮影。
衣装に着替えﾒｲｸ室に行く。

「あっ」

『一生さん…』

久々に見たまなみちゃん。
彼女は今回の現場でﾒｲｸ担当のｽﾀｯﾌで、撮影初日からお世話になっている。
でも先週の撮影に彼女はいなかった。
会うのは2週間ぶりだろうか。

「久しぶりだね、よろしく」

衣装が汚れないようにﾀｵﾙを前に掛けて、綺麗な手でﾒｲｸを始める。

「なんか、痩せた？」

『そうですか？』

「ちゃんとご飯食べてる？」

『1日1食の一生さんに言われたくないな』

そう笑いながら話す彼女はどこかぎこちなくて。
無理して笑ってる…そんな感じがした。

「…なんかあった？」

『え？…そんな顔変ですかね？』

ほら、また。

「無理してるように見えるよ」

『…私…』

女「一生くーん、今日もよろしくね！」

まなみちゃんが何か話そうとした時、共演してる女優が来た。
正直この人は苦手だ。

女「ねぇねぇ、今日ご飯行かない？」

「すいません、予定があるので」

女「えーじゃ明日は？いつ行ける？」

『終わりました』

いつの間にかﾒｲｸは終わってまなみちゃんは僕達から離れていった。

「すいません」

女「っ、ちょっと待って！」

彼女を追いかけようと椅子から立ち上がると腕を掴まれてしまった。

女「あの子、色目使って俳優追いかけ回してるって」

まなみちゃんが？
そんな事する子じゃない。
彼女は誰よりも早く来て、遅くまで残って仕事してるのを僕は知ってる。
彼女を知ってる知人からも彼女がどれだけ努力してこの世界に入ったのか聞いてた。

「お言葉ですが、色目使ってるのはあなたでは？」

女「っ、なっ私が!?私は…」

言い終わる前に部屋を出た。
探さないと。
人気のない階段に彼女を見つけた。

「まなみちゃん」

『っ！』

泣いていたのだろう、ﾋﾟｸﾘと反応すると顔をあげる前に涙を拭き取り、またあの顔をした。

『一生さん、撮影、始まりますよ』

「作り笑い、しないでよ」

『っ…何言ってるんですか…』

彼女を探してる途中他のｽﾀｯﾌに聞いた。
あの女優がまなみの噂を広めてた事。
勿論その噂はあの人の嘘。

『噂って凄い…』

ぎゅ

まなみちゃんの手を掴む。
そのままｽﾀｼﾞｵに向かった。

「皆さん、噂は間違ってますよ」

『一生さん？』

『追いかけてるのは僕の方』

ざわつくｽﾀｼﾞｵの中彼女の耳元で囁いた。





「好きなんだ」


―――
なんな違う笑
ﾈﾀ切れな私に何か下さい笑 作者

待ってて(山下智久／藍沢耕作)→←僕の妹(星野源／ｵﾓえもん)

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