十話 ページ10
朝から安室くんと赤井さんが訪れてきた。
あの時はテンションが上がっていたが、今思うと馬鹿馬鹿しいなとも思えてきた。
二人そろってくるときは、必ず―――。
「……え?」
「本当だ。A、すまない。お前の計画を守れなかった」
「そ、そんなこと無いですよ!」
FBI、公安、CIA、そしてそれに連なる、黒の組織への反発を進める組織達のデータがハッキングされ始めているのだ。
全ての組織へ一斉に、である。
安室くんがいち早く赤井さんに報告したおかげで完全にデータを抜かれることは避けたが、いくつかのデータが消えている。
本当に重要なデータは守っているらしいが、それもいつまで続くか分からない。
「このままデータを守る事だけに全人員を割いていたらいつまで経っても組織を潰せません。僕らの用意が足りませんでした」
「だから、何で謝るの!? 安室くんも赤井さんも悪くないんですよ。私がそう言うことも考えて計画を立てなかったからです。
今は、新しい対策を立てましょう。原作だと今はRUMが動き始めている時間ですから……私達だけでも小さい所から潰して回りましょう」
パソコンのキーボードを叩きながら私は言う。この世界に来るときはローマ字何それ美味しいの、というくらいに機械音痴だった。
スマホは辛うじて扱える程度だ。それも今は赤井さんのおかげでハッキングまで成長している。
どうして赤井さんは私なんかを好きになってくれるのだろう。明美ちゃんの方が断然――、そんな考えを振り払い、私はパソコン画面に目を通す。
組織からのメッセージは無い。
つまり、安室くんがこの前見たという商業ギルドからのメッセージのみで途絶えているという事だ。
「今がチャンスです。私がハッキングを担当します。赤井さんはとどめを、安室くんは潰す準備をお願いします。……絶対に、失敗しません!」
「……Aも、昔よりずいぶん表情が良くなったな。安室くん、君もだ。俺は、こう言う関係を望んでいたんだ」
「あ、かいさん?」「赤井……」
赤井さんは、ふっ、と微笑む。安室くんと赤井さんの同士の誤解は、私が全てを賭けてでも解きたかった糸の絡みだ。
赤井さんは、自分ではそれができないことを分かっていた。だから、それを成し遂げた私に感謝の気持ちを述べてくれている。
私は赤井さんが好きだ。そんなところも、好きだ。苦しいくらい。
「ありがとう、ございます」
例え明美ちゃんにまだ気持ちが傾いていても、必要とされるような言葉だけで嬉しい。
92人がお気に入り
「名探偵コナン」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
糖(プロフ) - maoさん» コメントありがとうございます。楽しみにしているといって頂けて嬉しいです。頑張って最後まできちんと終わらせる予定ですので、是非ご応援頂ければ幸いです<m(__)m> (2019年6月9日 23時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
mao - 続き楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2019年6月5日 22時) (レス) id: ec98b22c92 (このIDを非表示/違反報告)
ぐらにゅー糖(プロフ) - 雪兎さん» バリバリ元気です(笑) (2018年6月7日 18時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ぐらにゅー糖さん?元気ですか? (2018年6月4日 22時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ