緋色の弾丸記念話 ページ31
その日、私はスマホを見て飛び上がった。唯一私の元居た世界と繋がっているものだ。繋がっている、というほどリンクしているわけではないのでその境目は曖昧だが、とりあえず今スマホに表示されているのは元の世界の情報だ。絶対に、確かに。
飛び上がった私は、恐らく一階にいるであろう赤井さんに声をかけるべく階段を駆け下りた。
いや、赤井さん様陛下と呼んだほうがいいかもしれない(ゑ)。
「あぁあああああかいさぁああああああん!!!!」
「!?」
階段を駆け下りた先、リビングで新聞を読んでいた赤井さんと目が合った。目を丸くして驚いている。あんまり見ないレアな顔だ。拝みます崇めます奉ります。
しかし今はそれに一喜一憂してじたばたして騒ぐタイミングではない。十分後くらいにとっときます。
「き、聞いてくださあいっ!! ついに!! ついに、元の世界で赤井さんの映画が!! 2020!! オリンピック!! 名古屋!! 4/17! 緋色の弾丸っ!!」
「……つまり、俺の映画、名古屋を舞台にした『緋色の弾丸』がオリンピックの年2020年4/17日に公開される、ということか」
私の言葉を丁寧に翻訳した赤井さんが苦笑する。うひゃぁあイケメン無理尊い墓。
そして私はスマホを赤井さんに突きつける。丁度動画は赤井さんが微笑みながら拳銃を構えているところだった。特報動画尊すぎる。永久保存不可避。
それを見た赤井さんはくす、と笑った。その瞳は真っ直ぐ私を捉えている。
「嬉しそうだな、A」
「はいっ、すっごく嬉しいです! だって赤井さんの集大成ですよ! ずっとずっと待ち望んでいたんですっ……! 赤井さん家族も出ますし、ああああなんだこのかっこよさ尊いいいい」
「……ふ。困ったな」
え、と疑問の声を投げかける前に。ふわり、と目の前がふさがれた。一瞬、ちょっと何が起こったのか分からなかった。
赤井さんが私を抱き締めたんだと理解するまで、体感で五分はかかった気がする。
でも実際は数秒しかたっていなくて。
「……ぁ、かぃさん……?」
「困ったものだ。……作品の中の俺にさえ、嫉妬を抱くとはな」
「ぇ゛」
つまりそれはどういうことだろうか。えっ、私が来年の映像の赤井さんがかっこいいって言ったから……嫉妬してくださっていると!?なにそれ私罪深い、切腹するべきかな!?尊いヤバイ命日。
「……Aは、どちらの俺が好きだ?」
ほんの少し眉尻を下げて放たれた問い。
そりゃ、答えは一つだ。
「今の赤井さんです!」
☆緋色の弾丸、みんな見てね!
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糖(プロフ) - maoさん» コメントありがとうございます。楽しみにしているといって頂けて嬉しいです。頑張って最後まできちんと終わらせる予定ですので、是非ご応援頂ければ幸いです<m(__)m> (2019年6月9日 23時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
mao - 続き楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2019年6月5日 22時) (レス) id: ec98b22c92 (このIDを非表示/違反報告)
ぐらにゅー糖(プロフ) - 雪兎さん» バリバリ元気です(笑) (2018年6月7日 18時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ぐらにゅー糖さん?元気ですか? (2018年6月4日 22時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
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