Climax二十九話 ページ29
辿り着いたのは、倒壊しかけている屋敷だった。周りは平地。普通にこの屋敷の敷地が広いのだろう。
乱闘中なのかあちらこちらに穴が開いていて、銃撃音が絶え間なく聞こえる。
「先に失礼します」
京極さんは私を降ろしてそう言った。私がこくりと頷くのを律義に待って、ひゅん、と、彼は風の音を残して姿を消した。
もうこの人が人間なのかすら疑問に思えて来る。
そんなこと言ったらRX-7のガラスを素手で割る安室くんとか2200mから敵の拳銃をぶっ飛ばす赤井さんとかも人間じゃないけど……。
とりあえず京極さんに付いていくようにして屋敷の内部にそろりと入ると、案の定大惨事。
拳銃の音と色んな叫び声が耳に届く。
(ヤバイ、私入ったら殺されるかも? いやいや大丈夫、私は赤井さんより強い!!)
赤井さんより強いって言ったら京極さんを思い浮かべるけど、私はまだその境地に辿り着いていないと思います。
私はまだ人間です。
自分が果たして人間かどうかを自問自答していると、後ろから声をかけられた。
「Aさん、待ってたよ」
『コナン君……!』
「喋れないの?」
『分からないけど、先程組織の者と戦っていて。そのあと急に喋れなくなったみたい。何かに喉をやられたのかも』
「そっか。分かった! とりあえず上の階に急いでほしいんだ! 戦況はこっちが数で勝ってるけど、どうなるか分からないし!」
コナン君に連れられて、上の階へ急ぐ。
ふと思った。京極さんに出来るなら私にもできるのではないか、と。
「へ?」
コナン君の呆けた声は気にせず、私はコナン君を腕に抱えた。足にエンジンをかける感覚で、重臣を前に乗せて――
(おらァッ!!)
完全にゴリラと化したけど気にしないの。
まあ、全力疾走したわけですよ。
そうしたらあっという間に戦場に辿り着いたようで、私の肩すれすれの位置を銃弾が通り抜けた。
(おわっ!!)
「誰かいるんでしょう!? 出てきなさい!!」
「クソッ!」
「どうする……ジンも、戻ってこない……」
ベルモット、キャンティ、コルンの声だ。ボス、ラムを抜くと組織幹部で残っているのは彼らしかいないんだろう。
その他は寝返ったか死んだか捉えられたかだと思う。だって、FBIと公安等々が頑張ってくれているのだし。
というか京極さんが無双している音が聞こえるのだけれど、死角にいる私達は状況が分からない。
『私は飛び出して戦いに行くから』
「分かった! 安室さんと赤井さんを探してくる!」
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糖(プロフ) - maoさん» コメントありがとうございます。楽しみにしているといって頂けて嬉しいです。頑張って最後まできちんと終わらせる予定ですので、是非ご応援頂ければ幸いです<m(__)m> (2019年6月9日 23時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
mao - 続き楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2019年6月5日 22時) (レス) id: ec98b22c92 (このIDを非表示/違反報告)
ぐらにゅー糖(プロフ) - 雪兎さん» バリバリ元気です(笑) (2018年6月7日 18時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ぐらにゅー糖さん?元気ですか? (2018年6月4日 22時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
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