Climax十七話 ページ17
「くっそぉ……!」
電話が切れている。安室くんへ声は届かない。恐らく一人でなだれ込む組織に挑みに行ってるんじゃないかと、私は予想する。
ならば安室くんを追いかけるしかない。彼が言ったことも忘れて私は一心不乱にリビングまで駆け出した。
無情にもそこには、眉をひそめた赤井さんが待機していた。
「……通すわけには、いかないのでな」
「あ、赤井さん、どうして!」
「Aは今、組織に一番狙われている。外に出すわけにはいかない」
「私一人いなくなったところで、FBIにも公安にも関わらない!」
安室くんを救いたい。赤井さんにそんな悲しい表情をさせたくない。赤井さんは、私のためにここにいる。
ならば私が此処にいなきゃいい、ただそれだけなのだ。
私が原作を壊した。ならば私は責任を取らなくてはならない。でも、他ならない原作のキャラクターがそれを許しはしなかった。
赤井さんはもう一度強く眉をひそめて―――
―――私を軽く抱きしめた。
「あ、あかい、さん?」
「無茶をするな。……怖いのだろう、A。足が震えているぞ」
「っ」
「FBIにも公安にも影響があるんだ、Aは。お前がいなかったら、組織をここまで破壊できなかった。もしかしたら両方から推薦状が届くかもしれないな」
確かに、怖い。それよりも他でもない赤井さんに必要とされたことが、嬉しかった。涙が頬を流れる。知らないうちに、赤井さんは私から離れていわゆるあたまぽんぽんをしてきた。
こんな緊急事態なのに、私は迷惑をかけている。だめだ、それじゃあだめだ。私はすぐに涙をぬぐって赤井さんを見つめた。
「……安室くんに何かあったら、必ず助けに行きます」
「……Aに何かあったら、俺が必ず助けに行く」
「同じ、ですね」
ふ、と微笑む。同じようなセリフを口にしたことが、無性にうれしくなって。
私が差し出した手と、
赤井さんが差し出し返した手は、
―――何ミリか届かず、そのまま二度と触れ合えはしなかった。
ぱりん―――と、窓が割れる音がする。
扉が強く叩かれる音がする。
いつか転生してきた時に神様に用意された家が、崩壊していく音がする。
「いや、だ」
赤井さんが窓に足をかけてくれたんだ。
ジンが壁を駆け上がる私を撃ったんだ。
私が怪我した時に、赤井さんと安室くんがこの家に駆けつけてくれたんだ。
―――そんな家を、壊されるわけにはいかない!
「行きます」
「……」
きっとあの子だろう。
―――相手は、赤井さんの五倍。私は、赤井さんの三倍。
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糖(プロフ) - maoさん» コメントありがとうございます。楽しみにしているといって頂けて嬉しいです。頑張って最後まできちんと終わらせる予定ですので、是非ご応援頂ければ幸いです<m(__)m> (2019年6月9日 23時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
mao - 続き楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2019年6月5日 22時) (レス) id: ec98b22c92 (このIDを非表示/違反報告)
ぐらにゅー糖(プロフ) - 雪兎さん» バリバリ元気です(笑) (2018年6月7日 18時) (レス) id: a9cd84d524 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - ぐらにゅー糖さん?元気ですか? (2018年6月4日 22時) (レス) id: b712ea93b0 (このIDを非表示/違反報告)
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