降谷先輩。 【降谷零】

その2 ページ3

*°


｢私は絶対に嫌だ｣



｢そこを何とか〜｣



｢嫌だ｣



それからというもの、梨々実は毎日のように一緒にマネージャーやろうと私を誘い続けていた。



部活を決めるまで今日で残り3日。



それまでに部活に入りたい人は部長を通して顧問の先生に入部届けを出さなくてはいけないことになっている。



聞いた話によると既に多くの新入生女子達が男子テニス部のマネージャーに立候補しているらしい。



どうせそのほとんどは降谷先輩目当てだろう。



ちなみに名前は梨々実から聞いた。



そんなミーハー女子の中に私が入っても浮いてしまうだけだから、と断り続けているが梨々実はなかなか折れてくれない。



なんでそこまで、と聞いたら、



｢青春は謳歌するものだよ！｣



と言われてしまった。



うん、意味がわからない。






｢じゃあもういいよ。私、部長にこれ、出してくるから｣



その手には入部届けが握られていた。





｢Aの分も｣



もう片方の手にはもう1枚、入部届けが握られていた。



｢はあ！？！？｣



気づいた時には私の名前が書かれた入部届けをヒラヒラと、まるで挑発するようにしながら走り出していた。



｢ちょっと待ってよ！？｣



私もワンテンポ遅れて梨々実のあとを追って走り出した。

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