降谷先輩。 【降谷零】

その18 ページ19

*°


｢よかったね、Aちゃん。赤点なくて｣



｢お陰様で今こうしてここにいる訳ですよ、有理ちゃん｣



つい先日から夏休みが始まって、夏休みという響きだけでちょっと浮かれている。



とは言っても一応うちの高校は進学校ということもあって、全員強制参加で夏期補習があってるんだけど。



ちなみに赤点を取るとこの夏期補習に+2時間で特別授業がある。



こればっかりは回避できて本当によかったと思うばかり。



一応先輩に感謝、かな。



そして現在5限ある補習が終わった後の部活中。



今日は梨々実が用事で帰ってしまったためマネージャーは2人だけだった。



｢そう言えば先輩とは最近どんな感じ？｣



｢えっ！？もう、Aちゃんは急なんだから…｣



この間のことによって彼女に罪悪感を感じていたためなんとなく聞いてみる。



正直マネージャーは暇な時は本当に暇なためついつい雑談してしまう。



｢どんなって…特に変わりないけど…｣



そう本人は言っているが私と梨々実は、度々有理ちゃんがアプローチをかけているところを目撃していた。



｢でも、文化祭と体育祭前には───｣






















───告白したい。








そう言ってほんのりと頬を染める。



｢有理ちゃんは可愛いね｣



恋をする女の子は可愛くなるとはよく言ったものだ。



元々可愛かったのが最近可愛さを増して、もはや可愛さの暴力だよ。



あれ、自分でも何考えてるのかわからなくなってきちゃった。



｢Aちゃんだって可愛いよ……小さくて｣



｢もう！！！｣



そう言って私達は笑いあった。

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