その22 ページ24
*°
私が初めてAと会ったのは、初めて姫宮家のお茶会に出席した時だった。
現代日本に貴族はいないものの、お金持ちな家の間で貴族の習慣が残っているらしく、時々、様々な家でお茶会やらパーティやらがあっていた。
当時の私はそんな行事が嫌いだった。
須藤家もそれなりに地位がある家柄とは言え、最低限礼儀は弁えなきゃだし、上の家柄の人にはもっとたくさんの礼儀があるし。
しかも今回は日本でも有数の大財閥、姫宮家主催ということもあって余計に憂鬱。
そんなお茶会にちょうど退屈していた時だった。
「あなた、退屈そうね?私とちょっと抜け出さない?」
同い年か少し年下くらいの随分と可愛らしい女の子に声をかけられた。
宝石のようなブルーグレーの瞳が悪戯っ子のように笑っている。
「失礼、私、姫宮Aと言いますの。お茶会にとっても退屈していて、よかったら少し付き合って下さらない?」
そう言って彼女は私の手を引きお茶会が行われていた温室から抜け出してしまった。
「ごめんね、付き合わせちゃって。本当は今日はお姉様が出るから、私は出ないつもりだったんだけど、お姉様が意地でも出ないって。それで私が替わりに出てたんだけど退屈で退屈で」
丁寧な口調が崩れて年相応って感じがする。
「ところであなたのお名前は?」
「あ、えっと…須藤梨々実…です」
まだあの姫宮の家の子に連れ出された状況を飲み込めずに困惑してしまった。
「じゃあ、梨々実って呼ぶから私のことはAって呼んで」
「え…でも…」
上位の家柄である姫宮の娘に呼び捨てなんて…。
そう言おうとしたら
「私は私、姫宮なんて関係ないの」
そう言ってとびっきりの笑顔を見せる。
「じゃあ、A、これからよろしく」
「こっちこそ」
これが私とAの出会いだった。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
更新したのに非公開を外し忘れてました…w
841人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レン - そしてすずな。幼なじみのnameだ (2018年7月1日 18時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
レン - へ!?須藤?私呼んだ? (2018年7月1日 10時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!降谷先輩面白かったです!!!!続き楽しみしてますね! (2018年6月20日 22時) (レス) id: d9d137c800 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - 第1幕完結おめでとうございます!読んでいて凄く楽しかったです。第2幕期待しています! 更新頑張って下さい! (2018年6月20日 19時) (レス) id: 19822e9e12 (このIDを非表示/違反報告)
志歩(プロフ) - 超キュンキュンします!!(^○^)更新頑張ってください! (2018年6月3日 7時) (レス) id: 34fe10cc01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年5月21日 21時