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邂逅と事件と ページ7



時は一昨年、探偵、安室透の元に1つの依頼が舞い込んだ。

「僕の彼女が浮気しているようなので素行調査を頼みたいのですが」

依頼主は30代程度の幸薄そうな会社員の男性。見られた写真の中で、少しウェーブがかかった黒髪を揺らす美しい女性が男性と腕を組んでいた。目線は1ミリもこちらを気にしていないため、隠し撮りであることがすぐに分かる。

「彼女の名前は浦崎美結。27歳のOLです。詳しいことはこれに」

そう言って渡された書類に軽く目を通してから再び写真に視線を落とす。特にこれといって変わったところはない女性だ。一般中の一般と言った感じの経歴だった。普通すぎて怪しいくらいに。

特に断る理由も無かったため依頼を受け、彼女の気になったことを聞いてその日はその男性と別れた。

後日、彼女が本当に浮気をしているのか調査するために夜の街を歩いていた彼女に近付いた。

声をかけて、暗に寝たいと告げれば彼女はあっさりと了承したので、ホテルへと誘導。さっくりと進みすぎてこれは黒だな、と確信しながらも部屋を借りてその部屋に入り、彼女が扉を締めると突然彼女の雰囲気が変わった。

「あなた、一体何が目的なの」

先程までは熱を帯びていた瞳をきりりと釣り上げて自分を睨みつけている。今までのは演技だったのかと軽く驚く。その背には部屋の出口。いつでも逃げられる状況を作っていてさらに驚かされた。

「あなた、目が真っ直ぐなのよ。私に体目的で近付く男は基本下卑た眼をしている。でもあなたは全く違う。それに動きが只者じゃない、隙がほとんどないの。あなたは一体何者なの」

彼女は少し一緒に歩いた間にそこまで見抜いていたのだ。こうなったらもう言い逃れはほぼ不可能。逆にそこまで見抜いた貴方の方こそ一体何者なんだと聞き返したくなったが、ここで聞き返すと恐らくその扉を開けて逃げ去ってしまうだろう。直感だがそんな気がする。

依頼のためにも素直に答えることにした。

「僕、探偵なんです。あなたの恋人だと言う人物から素行調査を依頼されました」
「は?」

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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年9月3日 22時

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