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「ねぇ、1つ提案なんだけどさ」
「なんだよ」
1度煙を吸って吐いてから続ける。
「お互いに30歳まで独り身だったら結婚しない?」
そう言うと吸いかけていた煙を思い切り吹き出して噎せる陣平。汚いわよ、と言うと誰のせいだと返された。
「…お前本気で言ってんのか」
こいつ正気か、という目で珍しく低く唸るように言った。まるで敵意むき出しの狼ね。首輪を付けて飼い犬にしないと危険だわ。
「あんただから言ってんのよ」
私が適当に言ったと思っているようなので弁明をさせてもらう。結婚って生涯添い遂げることをするものでしょ?だったら、ちゃんとそれに相応しい人じゃないと。
そう言ったら、同じく私の幼馴染である萩原はダメなのかと言う。ああ言えばこう言う。昔からそんなやつだったか。
「研二はダメ、遊んでるから」
「お前、そのまま返ってくるって気付いてるか??」
「言っておくけど二股とか浮気はしたことないわよ、ただ一夜限りの愛を沢山囁かれてるだけ」
不敵に笑ってみせるとまたもや彼は大きく息を吐く。
「お前って変なところでロマンチストだよな」
ロマンチストを馬鹿にしているのか。ロマンがないと人生つまらないわよ?
ふっと最後に肺に溜まっていた紫煙を吐き、煙草を携帯灰皿で押し潰してから言った。
「その話、乗ってやるよ」
それだけ言い残すと背を向けて彼の愛車に乗り込んだ。
そんな私たちを覗き見ていた人物には二人とも気付かなかった。
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作者名:珠々菜 | 作成日時:2018年9月3日 22時